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(回答先: 印パ情勢に強い懸念表明・米国務省報道官〔日本経済新聞〕 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 5 月 30 日 12:15:02)
カシミール地方の領有問題をめぐって対立するインドとパキスタンの関係が、パキスタンがミサイル実験するなど再び「一触即発」の危機に陥っている。きっかけは昨年末以来、インド側で相次ぐイスラム過激派によるテロ。核を保有する両国の衝突は核戦争につながりかねない。米国や英国などが仲裁に全力を挙げているが、再び大きなテロが起きれば、南アジアの“火薬庫”が一気に爆発する危険が高まっている。
(イスラマバード・田内建一)
「われわれは他国へのテロの輸出を許さない。越境テロは行われていない」−。二十七日夜、国民向けのテレビ演説でパキスタンのムシャラフ大統領が明言すると、インド側は即座に反応。二十八日、シン外相が「むしろ越境テロは増えている。パキスタンにあるテロ訓練施設を永久に閉鎖しない限り、反テロ戦争は終わらない」と、同大統領の“言行不一致”を批判した。
インド側カシミールでの一連の過激派テロを、インドはパキスタンの「代理戦争」と糾弾。パキスタンが背後で軍事支援している「越境テロ」と主張してきた。これに対し、パキスタン側は「その証拠を示せ」と突っぱね「インドからの独立闘争はテロではない」と反論している。
ムシャラフ大統領も二十七日の演説で「(両国関係は)最高の緊張状態にある」と述べ、「自由を求める戦いに心情、政治、外交面からの支援を続ける」と明言した。
長年の対立関係から両国国民の間には強い相互不信感が存在する。パキスタンではカシミール問題で「少しでもインドに譲歩する言動を見せれば大統領の首が飛ぶ」といわれ、双方の首脳にとって国内の求心力を得るためには引くに引けない事情がある。
今回最大の焦点となっている「越境テロ」については「現在はともかく、過去には越境テロがあった」というのが国際社会の共通した認識だ。両国を仲裁に訪れている英国のストロー外相も越境テロの存在を認めたうえで「国際社会は越境テロと『自由の戦い』という双方の主張の違いを理解できない」と複雑なカシミール問題に言及。「二国間問題であり、国際社会もすべては解決できない」と説得の難しさをにじませた。
ムシャラフ大統領に近い消息筋は「大統領は越境テロを食い止めるため、努力を続けているが、末端のゲリラまではコントロールできない」と、パキスタン側が否定し続けてきたテロ訓練施設の存在も暗に認めた。
アフガニスタンでの反テロ作戦をめぐる対米協力で世界から注目されたムシャラフ大統領には、国際世論を後ろ盾とし、国民投票など民主的な手続きでカシミール領有権問題を解決したい思惑もうかがえる。住民の九割がイスラム教徒の同地方で選挙を行えば、パキスタン側に有利との胸算用があるからだ。
逆に、この論理に持ち込まれたくないのがインド側。国際社会の介入を嫌い、あくまで「二国間問題」として押し通す姿勢をみせている。
国際社会はパキスタンにイスラム過激派のテロ対策の徹底を再び迫り、インド側には対話に応じるよう働きかけている。だが、インドはパキスタンがテロ問題を解決させなければ、パキスタンが求める対話にも応じない姿勢だ。
六月六日から交渉のカギを握る米国特使のアーミテージ国務副長官が両国を訪問する。戦争回避には、パキスタンがまず具体的なテロ対策を行動で示すとともに、インド側もかたくなな拒否姿勢をやめ、パキスタン側といま一度話し合う必要がありそうだ。