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米国大手証券会社の「モルガン・スタンレー」グループの不動産ファンドが東京国税局の税務調査を受け、00年までの2年間に、日本の金融機関が抱えていた不良債権の売買に投資して得た所得約180億円の申告漏れを指摘され、追徴課税されていたことが分かった。租税条約で日本に課税権限のないオランダのダミー法人を経由させ、米国のファンドが得るべき利益を減らしていたと認定された。追徴税額は加算税を含め六十数億円とみられる。
関係者によると、追徴されたのは、同グループが投資家から集めた資金を、不動産などへの投資事業で運用している米国デラウェア州の不動産ファンド。このファンドは、バブル崩壊後に日本の金融機関が不良債権の担保として抱えた不動産の転売や賃貸収入で利益を出す事業を展開した。
この際、事業に出資した匿名組合員に、出資額に応じ事業利益を分配する商法上の「匿名組合」制度を利用。ファンドはオランダの法人数社に出資し、この数社が匿名組合制度を使って日本の不良債権買い取り専門会社にさらに出資した。
この買い取り専門会社は、金融機関が抱える不動産担保付きの不良債権を安値でまとめ買いし、高値で売却して高利益を上げた。利益の一部はオランダの数社に分配金として支払われたという。
日本とオランダの租税条約には、匿名組合の分配金に関する明文規定がないため、法人の所在地ではない日本には課税権限がない。国税局は2年間に、分配金約180億円が課税を免れたと認定したとみられる。
国税局は、オランダ法人の出資金が実質的に米国のファンドから出ていたことや、日本の不良債権の買い取り価格をファンドが決めていたことなどから、オランダ法人は課税を避けるために利用しただけで「租税回避行為」に当たり、分配金はファンドに帰属するとした。日本で得た所得は、国内に拠点がない企業にも課税できる日米租税条約の規定を適用し、追徴課税したとみられる。