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【ローマ28日=永田和男】
北大西洋条約機構(NATO)加盟19か国首脳は28日、ローマ郊外でロシアのプーチン大統領を招いた特別首脳会議を開き、同機構とロシアが対等の立場で協議、意思決定を行う「NATOロシア理事会」新設に関する合意文書に調印した。ロシアはNATOで準加盟国的な地位を獲得、反テロ包囲網形成を通じて示した対米欧協調路線を一層鮮明にするとみられる。
調印式でロバートソンNATO事務総長はゴルバチョフ旧ソ連大統領の言葉を引き、「バンクーバーからウラジオストクまでを包む地域で、共通関心事の解決を探る場になる」と新理事会に期待を表明。プーチン露大統領は「ロシアはNATOとの新関係をよく理解している」と述べ、テロや大量破壊兵器拡散などへの対応を通じ同盟に近い関係を築く決意を表明した。
新理事会は、1997年5月発足のロシアNATO常設合同理事会に替わるもの。旧理事会は、加盟国により決定済みの事項をロシアに通知する方式だった。99年のNATOによるコソボ空爆に関し、ロシア側は事前の相談を受けず、同年6月、治安維持部隊参加のロシア軍がNATO軍の意表をついてプリシュティナ空港を占拠する事件を受け双方の不信が募り、その後は形がい化した。新理事会では、テロ対策などNATOとロシアが関心を共有する問題でロシアも交えた「20か国体制」で協議・決定を行うが、ロシアに拒否権は認められていない。
ブッシュ米政権は同時テロ後、プーチン大統領が中央アジアへの米軍駐留を認めたことを含む協力姿勢を評価、今月14日のNATO外相理事会で発足が決まった。
調印式でブッシュ大統領は、ロシアとの新関係確立で「完成された自由で平和な欧州という大目標への道が開けた」と語った。大統領はかねて、11月にプラハで開く首脳会議でバルト3国などを加えた大規模拡大を決める意向だ。
ブッシュ政権は対テロ戦争開始後、NATO拡大に今までとは違った利益を見いだしている。米共和党筋は、「たとえばブルガリアが黒海沿岸の基地を提供してくれたら中東方面への足場が出来る」と、基地網拡大のメリットを指摘する。
もっともこうした考え方に、旧来のNATO加盟国では、「NATOは米軍の道具箱か」(仏フィガロ紙)「米政権の意図は、拡大で機構の本来のあり方をも変えてしまうことでないか」(伊ウニタ紙)との不満も聞かれる。
ブッシュ大統領は訪欧を通じ、プーチン大統領との信頼関係を軸とするロシアとの劇的な関係進展を印象付けた。だが、そのために米国と欧州のすきま風が目立つようになったのも事実だ。
(5月28日20:37)