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06/16 15:04 独でユダヤ人批判始まる 自治区侵攻でタブー見直し 外信32
共同
ナチス時代のホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)の記憶から、イ
スラエルやユダヤ人に対する批判が一種のタブーとされてきたドイ
ツで、イスラエル軍のパレスチナ自治区侵攻を契機として、タブー
見直しの動きが始まった。
きっかけは、リベラル野党の自由民主党ノルトライン・ウェスト
ファーレン州支部が五月上旬、侵攻作戦を「ナチスと同じ手法だ」
と批判したシリア出身の州議会議員の入党をいったん認めたことだ
。同議員は、イスラエルとナチスを同列に並べる発言が不穏当だと
して、所属政党の90年連合・緑の党から除名処分を受けていた。
ユダヤ人団体が自民党の措置に反対したのに対し、同党のメレマ
ン同州支部長は「不寛容で悪意に満ちた言動が反ユダヤ主義を助長
している」と反発。ユダヤ人団体側は支部長を「極右」と非難する
など、論戦は泥仕合の様相となった。
党本部の調整で議員の入党は最終的に見送られたが、ユダヤ人団
体は支部長が九月の総選挙を前に、大衆の間に根強い反ユダヤ主義
をあおろうとしたと主張している。
これとは別に、著名作家のマルティン・ワルザー氏(75)が近
く刊行する小説「ある批評家の死」をめぐっても、ユダヤ人をめぐ
る論争が持ち上がった。
小説は、ユダヤ人批評家に酷評された作家が同批評家殺害の疑い
をかけられるとの筋書き。ドイツ批評界の大御所でユダヤ人のマル
セル・ライヒラニツキ氏(81)が文中の批評家のモデルともみら
れている。
ライヒラニツキ氏がしばしば寄稿する有力紙フランクフルター・
アルゲマイネは、五月二十九日付紙面にワルザー氏あて公開書簡を
掲載し「フィクションの域を超えユダヤ人批判の意図がある」と「
ある批評家の死」を痛烈に非難した。
ワルザー氏は、新聞社側の非難を「小説の内容を曲解している」
と退けたが、同氏は一九九八年にも「ユダヤ人団体はホロコースト
を脅迫の手段として利用している」と述べ論争を巻き起こしたこと
があり、知識人の間では、今回もあえて挑発的な内容の小説を発表
してタブーに挑戦したと受け止められている。
あるドイツ人ジャーナリストは「イスラエルの政策に対する批判
は、ドイツ人が発言すると゛反ユダヤ主義″と受け取られる」と指
摘。こうした現状に不満を抱く人々が、国際社会で高まった自治区
侵攻批判に力を得て、微妙なテーマに踏み込んだと分析している。
(ベルリン共同=岩脇純)
(了) 020616 1504
[2002-06-16-15:04]