![]() |
|
9日付イラン各紙は、ハタミ大統領が「国民が求めれば憲法は改正できる」と述べたと伝えた。イスラム法学者による統治を定めた憲法の改正に触れることは、最高指導者を頂点とするイスラム共和国体制への批判につながるだけにタブーとされ、国民から選ばれた大統領が言及したのは初めて。ハタミ大統領は、先に改革が前進しなければ「辞任する」とも表明し、最高指導者ハメネイ師が率いる保守派との対決姿勢を強めている。
各紙によると、ハタミ大統領は8日の赤新月社幹部との会談で、「国民の声を聞かずに何事も押しつけられない。憲法は国民が獲得したものだ。国民が望めば改正できる」と語った。
イランの現体制では、イスラム法学者の最高指導者ハメネイ師が国政全般の決定権を持つ。国民の選挙で選ばれた大統領や国会の権限は限られ、民意が間接的にしか国政に反映しない。議員や国民の間では、現憲法への不満がくすぶっており、大統領の発言は、初めてこうした声を公式に支持したものだ。
大統領は、5日の教員との会合で、「国民の意思にこたえられなければ辞任する」とも述べて、保守派を強く牽制(けんせい)した。
ハタミ大統領は、内政では言論の自由拡大、外交では融和路線を進めている。イスラム革命後に断交した米国との関係改善には慎重だが、昨年9月の同時多発テロではいち早く米国民への哀悼の意を表明し、民間対話には積極的だ。
国会で多数を占める大統領支持の改革派議員の間では、テロ後に対米改善を求める声が強まり、最近では議員レベルの対話を公然と求めている。これに対し、ハメネイ師は米国との対話は何の役にも立たないと切り捨てた。
イランを「悪の枢軸」と名指しする米国内にも「問題は保守派で、改革派を後押しすべきだ」との見方が根強い。(23:12)