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イラクを攻撃すべきこれだけの理由
The Next Phase in the U.S.: led War on Terrorism? Iraq
チャールズ・ボイド/元駐留NATO米軍副司令官
リチャード・ホルブルック/前米国連大使
カーラ・ヒルズ/元米通商代表部代表
●「次の標的はイラク、それとも破綻国家」
アフガニスタンでのアメリカの軍事作戦が終盤にさしかかったいまや、対テロ戦争の第二幕についての数多くの議論がなされている。多くの人々が、テロリストは破綻国家にテロ・ネットワークのための聖域を求めている以上、ソマリアやイエメンに目を向けるべきだと主張している。一方、対テロ戦争、生物・化学兵器拡散の阻止という観点から見れば、中東地域及び世界に差し迫った脅威を突きつけているのがイラクであることは皆が合意している。サダム・フセインの政権、そしてイラクの大量破壊兵器は、国際社会にとって「いまそこにある危機」である。われわれは、イラクによる大量破壊兵器の開発を阻止し、手遅れになる前に、サダムを政権の座から追い落とす必要がある。
このリポートの目的はイラクに関する世論での論争に指針を与え、ブッシュ政権が対テロ戦争の第二幕において直面するであろう、さまざまな問題を指摘することにある。
対テロ戦争の第二幕の相手をイラクに定めるのは、リスク絡みの選択だし、さしたるコストも必要とせずに作戦を終了できると考えるべきではない。アメリカがサダム・フセインに対する軍事行動をとるべき必要性は大きいが、一方で、その試みによって、中東地域の安定というアメリカの長期的な利益が損なわれないようにしなければならない。アメリカの対イラク戦略は、明快で決意に満ちた政治的、軍事的戦略に支えられている必要があり、ポスト・サダムのイラクや中東で起きるであろう困難な問題についても、事前に十分検討しておく必要がある。ワシントンは、イラクとの戦争を始める前に、アメリカの世論、そして国際社会がその回答を求めるであろう困難な設問への準備をしておくべきである。
●「危険水域に達しつつあるイラクの脅威」
九月十一日の対米テロ攻撃に、イラクが関与していたことを示す明白な証拠はない。しかし、アメリカの死活的利益から見れば、イラクが近隣諸国と世界にとって大きな脅威を突きつけていることのほうが、テロに関わった証拠があるかどうかよりも、よほど大切な問題だ。
サダム・フセインは化学兵器、生物兵器を保有しているだけでなく、それを現実に使用することさえ躊躇しない。この点はすでに実証済みだ。イラクは、マスタードガスやサリンを含む毒ガス兵器をイラン・イラクの際にイラン軍に対して使用しただけでなく、自国の民間人にさえ使用している。実際、サダムはこの二十年に及ぶイラク北部の対クルド人弾圧作戦で、幾度となく毒ガス兵器を現実に使用し、一九八八年にハラジャの町を攻撃では、ほぼ五千名のクルド人がその犠牲になった。九八年、国連の兵器査察官がイラクの施設へのアクセスを最後に認められた時の報告では、イラクが致死的な神経ガスであるVXガスの生産と兵器化に取り組んでいるとの警告が発せられていた(訳注:九八年を最後に国連の大量破壊兵器査察は中止に追い込まれている。国連安全保障理事会は九九年に、大量破壊兵器の査察を行う新機関、国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)の設置を決めるも、査察は現在までのところ実現していない)。