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7日夜にイスラエル西部リション・レツィオン市で発生した自爆テロは、イスラエル軍の撤退などで高まっていた緊張緩和の望みを、一気に吹き飛ばした。一般市民を巻き込む自爆テロは治安や政治上の問題にとどまらず、イスラエルとパレスチナの間で市民の意識に本質的な分断をもたらしつつあり、和平の長期展望をもかすませている。(エルサレムで、貞広貴志)
今月18日、イスラエル北部ハイファで一軒のアラブ・レストランが再オープンする。3月末に天井まで吹き飛ぶ激しい自爆テロで全壊した建物を、突貫工事で新装した。アラブ系イスラエル人の経営者アリ・アダウィさんは、「いつまでも恐怖のとりこではいられないから」と言う。
15人が命を落とした凶行の跡は徹底してぬぐい去った。だが、「99%までがユダヤ人だったという客足が、テロ前の状態に戻ることはないだろう」という。
イスラエル各地を襲った連続自爆テロは、3月末以降だけでも60人を超す犠牲者を出し、繁華街や観光地から完全ににぎわいを奪った。エマヌエル・グートマン元ヘブライ大学教授は、テロ犯がイスラム原理主義過激派だけでなく世俗派の組織や女性にまで広がった衝撃を挙げ、「ユダヤ人の間には『パレスチナ人、ひいてはアラブ人は道徳的に腐っており、しょせんわかり合えない』という意識が広がっている」という。
ユダヤ人社会を覆うのが恐怖と嫌悪とするなら、パレスチナ側を支配する感情は絶望と復讐(ふくしゅう)心だった。
「イスラエル軍の前に次々とパレスチナ人が倒れるのを見て、あの娘にとって世界は生きていても死んでも同じものになった」。2月末に女性として2人目となる自爆テロを実行したダリン・アブアイシャさん(21)の叔父ディアブさんが、その感情を代弁する。
ダリンさんが両親と暮らした家には「殉教」をたたえるポスターが飾られ、丸顔に幼さを残す娘が思いつめた表情で写っていた。母親サイードさんによると、ダリンさんは敬虔(けいけん)なイスラム教徒であると同時に、大学では英文学を専攻しシェークスピアをこよなく愛した。自爆の前日、「本を買う」と偽って家を出た娘はしかし、「生か、死か」の迷いを少しも気取られなかったという。
多くの自爆テロ実行犯の出身地であり、イスラエル軍が徹底した破壊作戦を実施したヨルダン川西岸ジェニン難民キャンプでは、死んだ同志のポスターを張り歩く若者の姿が目立った。廃虚と化したキャンプで「イスラエルを追い払うためオレも戦う」と誓う光景は、絶望の深い分だけ貴重な命の喪失まで英雄視する悲劇的な状況を浮き彫りにした。
パレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハ幹部のフッサム・ハダー氏は先月末、「若者の間では殉教志願が相次いでいる。2週間以内に再び自爆テロが起きる」と語っていた。不幸にもこの“予言”は的中し、中東情勢は再び緊張を高めつつある。
(5月8日22:55)
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今回の自爆テロは、パナスチナ側のテロ組織の自爆テロは沈静化していた状況で、小刻みなイスラエル軍の自治区侵攻の挑発的軍事行動についに乗ってしまった感じです。
アラファト議長は「小刻みなパレスチナ軍の侵攻」を「挑発的軍事行動」だと警告をこめて避難しなければならなかった。今からでも遅くはない。