★阿修羅♪ ★阿修羅♪ |
|
【エルサレム8日=当間敏雄】イスラエルのシャロン首相が同国西部で7日夜起きた自爆テロを受けて「テロ根絶」を完遂する姿勢を強調し、沈静化に向かっていたパレスチナ情勢は再び、大規模侵攻と報復テロのぶつかり合う危険な様相へと逆戻りする懸念が高まった。イスラエルが控えてきたガザ地区への侵攻に踏み切る可能性が強い上、アラファト・パレスチナ自治政府議長の排除の機会を再び狙うとの観測もあり、情勢は緊迫の度を加えている。
シャロン首相は7日、自爆テロを受けてワシントンで開いた緊急会見で「パレスチナ自治政府を率いる人物の真の意図が何なのかを示す新たな証拠を受け取った」と述べ、アラファト議長を糾弾。3月末から行ったヨルダン川西岸パレスチナ自治区に対する大規模な侵攻作戦「守りの壁」は「テロ基盤の解体に大いなる成果を上げたが、まだ終わっていない」と述べ、作戦継続の姿勢を鮮明にした。
首相は米国の強い圧力を受け、今月1日には西岸ラマッラの自治政府議長府の包囲を解き、議長を解放。ブッシュ米大統領は事態収拾の流れを和平再生へとつなげるためシャロン首相をホワイトハウスに招いたものの、首脳会談と同時に発生した自爆テロは、この和平機運を粉砕した。
大統領は会談でアラファト議長以外にパレスチナ指導者がいない現状を踏まえ交渉するよう求めたと見られるが、首相は議長がテロ活動に直接関与したとする証拠書類などを米側に示して拒絶、さらに「テロと腐敗の体制」である自治政府と政治プロセスを進めることもありえないとし、パレスチナ国家樹立についても「検討する機が熟していない」とつっぱねた。
最悪のタイミングで起きた自爆テロが、首相の強硬策の正当性を支える格好の材料となり、“側面支援”した格好。大統領は会談後の会見で、議長の処遇問題に関する質問を「友人である首相に何をせよといったことはない」とはぐらかし、首相とのミゾが埋められなかったことを示唆した。
(5月8日23:00)