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ヨルダン川西岸ラマッラ2日=久保哲也】イスラエル軍は1日夜(日本時間2日未明)、ヨルダン川西岸パレスチナ自治区ラマッラの自治政府議長府に対する包囲を解き、ラマッラから撤退を開始した。2日未明には撤退完了する見込み。
イスラエル軍の早期撤退を目指すブッシュ米大統領の仲介案をイスラエル、パレスチナ双方が受諾したことに伴う措置。これにより、3月29日の同軍西岸侵攻開始以来、議長府内に監禁されていたアラファト議長は、約1か月ぶりに自由の身となる。
これに先立ち、議長府内にいた、ゼエビ・イスラエル観光相暗殺事件(昨年10月)実行犯ら「テロ重要容疑者」6人は1日夜、米英両国の車両でラマッラ東方約35キロにある西岸自治区エリコに移送、パレスチナ刑務所に収監された。6人は米仲介案に基づき、米英両国要員によって監視を受ける。
自治政府のアブルデイナ議長顧問は1日夜、米CNNテレビのインタビューで、「議長は当面外国にいかず、議長府内にとどまる」と述べ、議長が近く外遊するとの一部報道を否定。さらに「議長の最大の関心事は西岸ベツレヘムで、欧州仲介案に沿って解決を図るよう指示を出している」と述べ、議長がベツレヘムのキリスト教聖地「聖誕教会」に立てこもる武装パレスチナ人ら約200人の解放問題を次の焦点と見なしていることを明らかにした。
一方、イスラエルのシャロン首相は同夜、米テレビのインタビューで、「議長が外国に出た後も、テロや扇動行為が止まないようなら、議長は必ずしも(自治区に)帰還できるとは限らない」と述べた。
アラファト議長は、長期間にわたるイスラエル軍包囲という極限状態を切り抜けたことで、パレスチナ内部やアラブ世界で「不屈の指導者」としての支持を一層強めた。だが、権力基盤とする自治政府の機能はイスラエル軍の侵攻によってほぼ完全に破壊されており、その早急な立て直しが急務となる。
また、民衆の間でイスラエル憎悪が極度に高まる一方、米、イスラエル両国からはテロ抑止を強く迫られており、内部世論と外部からの圧力の板挟みの中で、難しい政治運営を余儀なくされよう。
(5月2日06:24)