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【ワシントン1日=林路郎】
米国とサウジアラビア両国首脳が先のテキサス州での会談で、中東和平プロセス再開に向けた努力で具体的な役割分担を定め、米国がイスラエルに、サウジがパレスチナ自治政府にそれぞれ強く働きかけ、暴力の連鎖を断ち切らせるとの外交戦術を共同で進めることで非公式に合意していたことが明らかになった。1日付のニューヨーク・タイムズ紙が米、サウジ両政府筋の話として伝えた。
それによると、ブッシュ大統領は、来週訪米するイスラエルのシャロン首相との会談で、イスラエル側に対して「極めて率直な表現」でパレスチナ自治区からの撤退などの重要性を説得。一方、サウジはこれと同じ時期に、アラブの他の指導者の協力を得てアラファト自治政府議長を招いた会議を開催、テロ組織の取り締まり、自治政府の運営そのものに対するアラブ諸国の「監督」などを受け入れさせる方針という。
その後、事態が沈静化すれば、米国がかねて提示している、パレスチナ国家の創設に向けたミッチェル和平案のプロセスへ移行することを想定している。
ブッシュ大統領はサウジのアブドラ皇太子との会談後、米国の仲介だけでは和平は達成不可能であることを宣言。アラブ諸国やイスラエルにも「責任」を果たすよう求めた。アラブ世界に強い影響力を持ち、米国が「イスラム過激派を資金援助している」(パウエル国務長官)とまで指摘したサウジにテロ組織取り締まりでの責任を負わせる一方、イスラエルに対し唯一の仲介者としての立場を主張できる米国の政治力を生かそうという構図だ。
米国は一方で、サウジが首脳会談で提案した「8項目」を議論の出発点とする考えを表明してもいる。同提案には、イスラエル軍が1967年の第3次中東戦争で確保した占領地から撤退することと引き換えに、イスラエルとの和平を目指すとの考え方が含まれており、米・サウジの新たな外交努力は、包括的な政治プロセスに近い形となる。
ただ、シャロン首相が、67年の占領地からの撤退を明確に拒否するとともに、ヨルダン川西岸ジェニンでの虐殺疑惑をめぐる国連調査団も受け入れないという強硬姿勢を維持している以上、米国の圧力がどれほど威力を発揮するかは不透明だ。アラブ指導者も各国内の反イスラエル世論をどう制御するかという難題を抱えており、新たなプロセスが多難なスタートを強いられるのは必至だ。
(5月1日22:18)