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米英及びイスラエルに戦線拡大の道を用意する“裏切り者”アラファト議長 投稿者 あっしら 日時 2002 年 5 月 01 日 18:43:40:

アラファト議長とイラクのフセイン大統領については、パレスチナやイラクの最高統治者でありながら、それらに属する人々や周辺の人々に災厄をもたらす“裏切り者”だと考えている。

エジプトやヨルダンなどの統治者のように、イスラエルとの妥協のなかで自国の生存や権益を追求していくというおおっぴらの変節は、政治的には一応理解できるものである。

しかし、アラファト議長やフセイン大統領のように、反イスラエル・反米を旗印にしながら米国やイスラエルと通じているとしか見えない統治者は最悪である。

パレスチナ問題については根源的にパレスチナ人自身の問題と考えているので、イスラエルとの共存を認めるのも、イスラエルの崩壊を目指すのも、パレスチナ人自身が決めることだと思っている。
アラファト議長の路線が多数派を占めているのも、自分及び家族や隣人が当面勝ち目が薄い対イスラエル闘争で命を失うより、そこそこの妥協であれば屈辱と困窮のなかであってもなんとか日々の生活を維持していくほうがいいと考えている人たちが多いからだろうと推測している。


アラファト議長は、先日、ブッシュ大統領の提案を受け入れ、自身の監禁解除の条件として、「イスラエルが身柄引き渡しを要求している6名を米英の監視下で刑務所に収監する」という内容を受け入れたという。

アラファト氏が自身の監禁解除を求め行動の自由を主張するのは当然である。

しかし、その条件として、イスラエルが引き渡しを求める6名を米英の監視下で刑務所に収監するというという提案を受け入れたことは、政治的に無能だということで済む話ではなく明白な裏切り行為である。

現状のパレスチナ−イスラエルの対立が6名の身柄をめぐるものだけであれば、彼我の戦闘力の差からイスラエルに引き渡さないだけでもよしと考えることはできる。

しかし、イスラエル軍部隊が西岸地区全都市とガザ地区に侵攻し、ジェニンやナブルスで見られるような大虐殺を行った現時点で、自身の監禁解除のために6名の収監を認めるのは、無能を通り越した裏切りである。

イスラエルの暴虐によって千名もの犠牲者が出た今こそ、パレスチナの大義を掲げるアラファト議長は、最大限の政治力を発揮しなければならない。
自身の監禁状態さえ、国際社会の同情を集める好機として最大限に利用しなければならないのである。
イスラエルのパレスチナ自治区からの完全撤退(都市からの撤退ではなく)を緊急で第一義のものとし、イスラエルの虐殺行動の事実調査と調査結果に基づく処罰を求め、それを突破口として、「シオニストの土地強奪」と「イスラエル建国」の不当性を国際社会に広めるのが、パレスチナ統治者の使命である。

今回の「イスラエル虐殺軍事行動」を、アラファト議長の行動の自由と引き替えにした6名の刑務所収監で決着させては、それこそ千名もの犠牲者は犬死になってしまう。

「文明諸国」はこれまでもイスラエルにも正当性があるかのような言動をしており、日々の生活に追われている人々は“健忘症”にもかかっている。
一時的な平和状況が訪れた後に、パレスチナ人が仕掛けたと発表される“自爆テロ”が起きれば、今回の「イスラエル虐殺軍事行動」は記憶の片隅に残っているだけで、新しく起きた“自爆テロ”がもたらすパレスチナの残虐性がクローズアップされることになる。

アラファト議長は、9・11米本土空爆テロと同じように、12・2イスラエル同時多発爆弾攻撃が誰によるものかも明確にされていない段階で、イスラエル政府が打ち出したパレスチナ自爆テロ説を黙認のかたちで受け入れている。
12・2の4ヶ所での同時多発的爆弾攻撃は、現在なお進められている今回のイスラエルのパレスチナ虐殺軍事行動の名目となったと言えるものである。
12・2に関するイスラエルの主張をそのまま黙認したことだけでも、火の粉が降りかかることが当然予測できるパレスチナの統治者としては失格である。


さらに、米英部隊(おそらく警察や軍隊の関係者になるだろう)をパレスチナに引き入れるような愚かな政策は、まともなパレスチナ統治者であればとらないものである。

英国は今世紀初頭から始まったシオニストのパレスチナでの強奪を支援した国であり、戦後の「イスラエル建国」を準備した国である。米国は、ご存じのように、「イスラエル」を物心両面で支援し続けている国である。
米英が、パレスチナ問題で中立的な対応をするはずがないのである。

より重要なことは、米英が、9・11米本土空爆テロ以降の「反テロ=反イスラム戦争」を領導している国家だということである。
9・11空爆テロを直接仕掛けたかどうかは別にして、9・11空爆テロの実態をまともに捜査することなく、「アフガニスタン虐殺軍事行動」を継続している。

アラファト議長は、6名の刑務所収監を監視する米英部隊が攻撃される事態を想定してみるがいい。
誰が攻撃するかという問題は脇に置くとして、そのような事態が発生すれば、米英のみならず「文明諸国」の世論は大きく反パレスチナに傾き、それを名目にしたイスラエルの“懲罰軍事行動”も認めるだろうし、米英軍部隊の派遣さえ容認することになるだろう。

アラファト議長は、イスラエルや米英が目論んでいる戦争のかたちが「パレスチナ内戦」であることを肝に銘じなければならない。
アフガニスタンで見せているように、彼らは、自国軍兵士がより多く犠牲になるかたちでの戦いではなく、ムスリム同士や対象国国民同士が血を流し合う戦いを志向している。
アラファト議長派とハマス&イスラム聖戦が、血で血を洗う内戦に陥ることを望んでいるのである。
ブッシュ政権がアラファト議長に「自爆テロ非難」や「テロ取り締まり」を要求しているのは、そのような内戦状況を近づけるためである。

アラファト議長に反イスラエル闘争=テロ攻撃を抑えつけ政治力も取り締まる治安力もないことは、アラファト議長自身も自覚しているだろうが、「取り締まり」を叫ぶ米英&イスラエル政府も十二分に承知しているのである。(イスラエル政府は、パレスチナ治安部隊を殺害したり根こそぎ拘束した)
反イスラエル闘争を「テロ」と認めること自体が政治的無能の現れだが、できもしない「テロの取り締まり」を表明することは犯罪である。結局は、イスラエルの軍事侵攻を正当化する役割だけを果たすからである。

パレスチナ人が、アラファト議長の裏切りをきちんと認識し、議長職を解任し国外追放しなければ、今後もイスラエルによる虐殺=犬死が続くのみならず、パレスチナ人同士が血を流し合うことになるだろう。
そしてさらに、“本来”の約束の地である「エジプトの川から、かの大川ユフラテまで」(創世記第15章)が戦乱状態に陥ることになる。


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※ 参考書き込み

『シャロン政権の「大イスラエル主義」とブッシュ政権の「新世界秩序」のリンク』
http://www.asyura.com/2002/bd17/msg/483.html

『「ブッシュ提案」は危険な罠 《一時的に生まれるであろう“平和状況”こそ大きな暴虐の前兆》』
http://www.asyura.com/2002/war10/msg/883.html

『U.N.介入で激化した「旧ユーゴ内戦」は今後の“中東波乱”の歴史的サンプル』
http://www.asyura.com/2002/war11/msg/204.html

『《中東情勢は風雲急》アラファト議長は政治的シオニストに魂を売った裏切り者』
http://www.asyura.com/sora/bd16/msg/434.html

『「約束の地」から始まるイスラエルの“強奪と虐殺”の歴史』
http://www.asyura.com/2002/bd17/msg/478.html

『『近代パレスチナ問題』と「文明諸国」の対応』
http://www.asyura.com/2002/bd17/msg/481.html

『シャロン政権は「対テロの戦い」を拡大するために自国民を生け贄に捧げている』
http://www.asyura.com/2002/bd17/msg/482.html

『「イスラエル−パレスチナ全面対決」・「第5次中東戦争」・「第3次世界大戦」はすべて虚構である』
http://www.asyura.com/sora/bd15/msg/552.html

『Re:「イラク攻撃」を突破口にして中東全域を巻き込む戦術』
http://www.asyura.com/sora/war9/msg/349.html

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