【ワシントン中島哲夫】
フライシャー米大統領報道官は26日、ブッシュ大統領と25日に会談したアブドラ・サウジアラビア皇太子が、中東問題の打開に向けた8項目の提案をしていたことを明らかにした。米国が賛同しにくい項目も含まれており、会談では合意に至らなかったが、報道官によると大統領は「建設的」と受け止めている。この提案が関係当事者による今後の議論の「たたき台」になる可能性があり、注目される。
アブドラ皇太子の提案は(1)イスラエル軍のパレスチナ自治区からの撤退(2)同軍によるラマラの包囲解除(3)国際平和維持軍の展開(4)被害を受けたパレスチナ自治区の再建(5)暴力の放棄(6)長期的な視野での政治解決に向けた協議(7)パレスチナ自治区でのイスラエル側の入植終了(8)イスラエルが1967年の第3次中東戦争以来の占領地域から全面撤退すれば、イスラエルの国境線を認める――というもの。アブドラ皇太子の提言に基づき3月末のアラブ連盟首脳会議で採択された包括的中東和平構想を補完した内容といえる。
米国は先に、イスラエルとパレスチナの停戦の実現後に、軍部隊でなく文民による小規模の停戦監視団の派遣を提案しており、国際平和維持軍の展開には即座に賛成しかねるところ。また、パレスチナ側の自爆攻撃などの停止を具体的にうたった項目が含まれていないのも、米国としては問題だ。
しかし、米政府は皇太子の提案を全体に穏当なものと評価して細部を検討しているといい、25日の会談後も米国に滞在しているサウジ当局者らと後続して協議が行われている模様だ。