【ワシントン中島哲夫】
イスラエルのシャロン首相は23日、ワシントンで開かれたユダヤ系ロビー団体「アメリカ・イスラエル広報委員会(AIPAC)」の年次総会で、エルサレムからの生中継映像を通じて演説し、米国のアフガニスタン攻撃で一般住民に犠牲者が出ていることを引き合いに出しながら、イスラエル軍のパレスチナ自治区での作戦を正当化する趣旨の発言をした。
首相は「テロに対する自衛の戦い」と「テロリストの行為」を同列に論ずることはできないと指摘。「アフガニスタンで米国はテロと戦い、時には罪のない民間人が戦火に巻き込まれる。イスラエルはテロと戦っている。我々には自らを守る道徳的な権利と義務がある」と言及した。
首相はまた、パレスチナ自治区での過激派掃討作戦は成功し、自爆犯が出る基盤を破壊したと自賛。パレスチナ側の憎悪を深めたとの懸念をよそに「将来については楽観的だ」「作戦は和平プロセスを道徳的な軌道に乗せる機会に窓を開いた」などと語り、自ら提案したアラブ諸国などとの国際会議によって和平への枠組みをつくることは可能と主張した。
首相はさらに、この国際会議が米国の後援で開かれれば、イスラエルは(1)暴力の完全停止(2)長期的な中間合意(3)イスラエルとパレスチナの境界を画定する恒久的合意――という3段階の和平案を会議に提示できると明らかにした。