【エルサレム岸本卓也】
イスラエル各紙は22日、イスラエル軍がヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ラマラの議長府内にいるとみられるテロ容疑者を逮捕するための突入計画の検討に入ったと伝えた。突入作戦が敢行された場合、アラファト自治政府議長に身の危険が及ぶ可能性が高いとして、欧米各国は相次ぎ、突入作戦をやめるよう警告を出している。
イスラエル有力紙「イディオト・アハロノト」、「マーリブ」などによると、イスラエル軍はヨルダン川西岸カルキリヤ、ジェニンなどから撤退を完了。21日にはナブルス、さらにラマラの大半からも撤退した。シャロン・イスラエル首相は同日に過激派掃討作戦「守りの壁」の現段階が終了し、テロとの戦いが「別の方法」で継続すると宣言した。
首相は「別の方法」が何を指すのか具体的に明らかにしなかった。だが、首相が議長府にいるとみられるゼエビ観光相暗殺事件(昨年10月)の容疑者らの引き渡しを求めていることから、議長府に特殊部隊を急襲させて容疑者を逮捕する作戦を示唆しているとの見方がある。
このため、米政府は「アラファト議長に危険が及ぶ」としてイスラエル政府に議長府への突入を自制するよう求めている。フランス政府も21日、突入に反対する声明を出した。