イスラエル各紙は21日、同軍がヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ラマラでアラファト議長を監禁している議長府への突入作戦を検討していると報じた。イスラエルが引き渡しを求めるゼービ元観光相暗殺犯や武器密輸の首謀者の拘束のためとしているが、米国が反対しているという。一方、イスラエル軍は20日夜からナブルスと、議長府を除くラマラとの両都市部から撤退を開始した。
議長府でのアラファト議長の監禁は3月29日の開始以来21日で、24日目となる。イスラエルはゼービ観光相を暗殺したパレスチナ解放人民戦線(PFLP)のサダト議長と暗殺実行犯の4人と、パレスチナ警察の財政責任者で、イスラエルが1月に紅海上でだ捕したパレスチナの武器密輸船事件の首謀者とされるジョーバキ氏の計5人が議長府の中にいるとして、引き渡しを求めている。
自治政府は引き渡しを拒否し、パレスチナの法廷で裁判にかけるとしている。イスラエル各紙によると、軍や治安関係者から「アラファト議長があくまで犯人の引き渡しを拒否するなら、突入しかない」という声が高まっている。これに対し、米国の複数の高官がここ数日、イスラエルに対し「(突入すれば)議長は自決するだろう」と警告したと、マーリブ紙が報じている。
自治政府筋によると、アラファト議長は側近に「イスラエル軍が入ってきたら、私は拳銃を抜いて戦う」と語っているという。
イスラエル軍スポークスマンは、ラマラとナブルスの都市部からの撤退は21日中に完了する見込みだが、戦車は周辺の自治区内に移動し、両都市への包囲は続くと語っている。(19:55)