【テヘラン成沢健一】
イランを公式訪問中の江沢民・中国国家主席(共産党総書記)は20日、テヘランでハタミ大統領と首脳会談を行った。中東情勢について意見を交換した両首脳は、イスラエル軍の早期撤退やイラクの主権尊重の必要性で認識が一致し、米国の出方をけん制する内容となった。また、両国政府は首脳会談後、資源開発や貿易、海運など6分野での協力と交流に関する文書に合意した。
同行筋によると、首脳会談で江主席は「シルクロードを通じて2000年前から交流がある両国の協力をさらに発展させたい」と述べるとともに、ハタミ大統領が提唱する「異なる文明間の対話」に賛意を表した。
イラク情勢については、ハタミ大統領が武力干渉に反対する考えを表明。これに対し、江主席は「イラク側も国連に協力する必要があるが、主権は尊重されるべきだ」と語り、イラクを「悪の枢軸」と非難する米国をけん制した。また、両国が国境を接するアフガニスタン情勢では、江主席がイランの努力を評価するとともに、国連の役割の重要性を強調した。
中国とイランは71年に国交を樹立したが、ここ数年は特に関係強化の動きが目立っている。一昨年6月にハタミ大統領が訪中したほか、江主席の後継者として最有力視される胡錦涛・国家副主席が昨年1月にイランを訪問している。
経済面でも、91年には3・1億ドル(約403億円)だった貿易総額が、01年には33億ドル(約4290億円)と10倍に増えている。また、イランのエネルギー関連プロジェクトやテヘランの地下鉄工事などに中国側が協力している。