【ニューヨーク18日=勝田誠】国連のアナン事務総長は18日、安全保障理事会の非公式協議で、武力行使を認めた国連憲章第7章に基づく多国籍軍のパレスチナ自治区への派遣を検討するよう正式要請した。
事務総長は「国際社会がいま協調して(多国籍軍の派遣を)選択しなければ、イスラエルとパレスチナは公正で永続的な平和を達成できない」と述べ、安保理に対して、多国籍軍派遣の条件となる決議案の採択などを求めた。
事務総長は、多国籍軍の派遣目的として、<1>「暴力の連鎖」の終結<2>治安回復<3>イスラエル軍侵攻で破壊されたパレスチナ自治政府の機能回復支援<4>和平実現に向けた政治的安定の維持――を挙げた。
また、事務総長は「パレスチナ過激派への監視が強化される」として、イスラエルが非難する自爆テロ撲滅にも役立つとの見方を示した。さらに記者団に対し、「米国が多国籍軍派遣で重要な役割を果たすことへの期待」を表明した。
安保理の同日午後の協議では、サウジアラビアなどアラブ各国が提案に賛意を表明。しかし、イスラエルは「国際部隊が役立つ可能性は皆無だ。また、当事者双方の合意なしに受け入れはできない」(ジェイコブ国連代表部代理大使)と反対の立場を表明した。
(4月19日10:47)