04/18 16:26 自然保護か原油確保か アラスカ開発で議会内対立 外信78
【ワシントン18日共同】米上院で論戦が白熱しているアラスカ
州の自然保護区内での油田掘削について、共和党は十七日までに、
掘削範囲を大幅に縮小した修正案を提示したが、民主党側は譲歩の
姿勢を見せず、法案可決が困難な情勢になっている。
アラスカ油田開発を含む包括エネルギー法案の今議会での成立を
目指すブッシュ大統領の意を受け共和党は、フセイン・イラク大統
領が原油輸出の三十日間停止を発表したのをきっかけに、不安定な
中東地域からの石油依存を減らし、エネルギー自給率を向上させる
ことが国家の安全保障のために重要として、掘削の必要性を強調し
ている。
ブッシュ大統領はこれまで「サダム・フセインのような者の影響
を受けないようにするため、石油供給先の多様化が肝要」と指摘。
57%に達する石油の輸入依存率を下げることは、重要な安全保障
戦略の一部である、と強調してきた。
しかし上院民主党の指導者ダシュル院内総務は「自然破壊に加え
、石油業界の利益になるだけ」と保護区内での油田掘削に反対を貫
く。次期大統領候補と目されるケリー氏、リーバーマン氏ら民主党
大物上院議員も積極的に反対している。
こうした反対表明についてある議会関係者は、十一月の中間選挙
や二○○四年の大統領選を見据え、党内の自然保護派の支持を確実
にするためのパフォーマンスと解説する。
民主五十、共和四十九と議席数が拮抗(きっこう)する上院では
、これまでに少なくとも六人の共和党議員が自然保護区内での石油
掘削への反対を表明。意見表明を控えていた十人の議員のうち、民
主党のリンカーン議員も十六日「自然保護区内での油田掘削で生じ
る不利益は、利益を上回る」と反対に加わった。
ロイター通信が上院議員全員を対象に調査したところ、アラスカ
の油田掘削に反対する議員は過半数の五十一人に達している。
(了) 020418 1626
[2002-04-18-16:26]