(回答先: パウエル調停、事実上の失敗〔読売新聞〕 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 4 月 17 日 23:24:33)
【ワシントン布施広】
パウエル国務長官による仲介が不調に終わったことで、米国の介入が結果的にイスラエルの軍事行動を既成事実化した印象が生まれた。今後、衝突収拾に向け、ブッシュ米政権が公正な仲介者たりうるか、という根本的な疑問が強まるのは避けられない。
パウエル長官の仲介について、イスラエル批判が強い国際社会はイスラエル軍のパレスチナ自治区撤退による事態沈静化に期待した。確かに長官はイスラエル軍の撤退を求めはしたが、ホワイトハウスでは、フライシャー報道官がシャロン・イスラエル首相を「平和の人」と呼び、同首相が言う「テロとの戦争」への理解を表明するなど、米政府はイスラエルの安全を最重視する姿勢に終始し、米政府が本気で軍事行動をいさめる気がないのは明らかだった。
米国のアラブ人系団体「反差別委員会」のフセイン・イビシュ広報部長は「長官の訪問がイスラエルの軍事行動の正当化につながることを懸念する」と毎日新聞に語っている。イスラエルの軍事作戦が続く中で長官が帰国の途に就くのは、米国の影響力の低下や調停の失敗を必ずしも意味しない。米国は型通りの仲介という手続きを踏み、軍事作戦継続を事実上、黙認した印象も強いのだ。
しかも米国が開催に前向きな国際会議は、「アラファト(議長)はずし」の色彩を否応なく帯びている。イスラエルは従来、中東和平をめぐる国際会議の開催には消極的だったが、今回シャロン・イスラエル首相の方から国際会議を提唱したのは、交渉の構図を根本的に変え、和平への道筋を定めた93年のオスロ合意(パレスチナ暫定自治合意)の空文化を狙う作戦とも理解できる。
米政府は訪米中のハリリ・レバノン首相、下旬に訪米するアブドラ・サウジ皇太子らと国際会議構想を討議、まずは閣僚級での開催をめざす方針だが、アラブ側が開催に応じるかどうかは明らかでない。対イスラエル経済制裁さえ検討した欧州諸国と米国の温度差も目立つ中、国際会議構想が中に浮き、結果的に米・イスラエルが孤立感を深める可能性もある。