【エルサレム井上卓弥】
イスラエル・パレスチナ衝突の収拾を目指すパウエル米国務長官の仲介作業は17日に終わるが、イスラエル軍は同日、ヨルダン川西岸パレスチナ自治区ラマラ、ベツレヘム、ジェニン、ナブルスから部隊を撤退させる姿勢を見せていない。アラファト・パレスチナ自治政府議長はイスラエル軍の自治区撤退を、停戦宣言するための最重要条件に挙げていた。
イエス・キリストの生誕地とされるベツレヘムの聖誕教会周辺では16日、教会を包囲するイスラエル軍と内部に立てこもるパレスチナ武装集団の間で約1時間にわたる銃撃戦が発生し、付近の住民1人が足を撃たれ、けがを負った。今月2日の侵攻開始以来2週間を過ぎた包囲作戦では最大規模の衝突となった。
教会内にいるローマ・カトリック教会系のフランチェスコ修道会神父によると、現場ではイスラエル軍の戦車とみられる砲撃音と銃の発射音が断続的に響いた。教会付近で4回にわたり炎が上がったとの目撃情報もある。
また、イスラエル警察は同日午前、エルサレム近郊のパレスチナ人居住地の5町村に外出禁止令を出して家宅捜索を行い、イスラム原理主義組織「ハマス」のメンバー2人を含む15人の過激派容疑者を逮捕した。対象となったのはパレスチナ自治政府などの幹部らも居住するアブディスやイサウィヤなどで、自治政府側は「新たな侵攻作戦」と強く反発している。