【エルサレム海保真人】
パレスチナ衝突収拾に向け仲介を本格化させているパウエル米国務長官は16日、シャロン・イスラエル首相と来訪以来3回目の会談に入る。これに先立ち、長官は記者団に対し、イスラエル、パレスチナ自治政府双方との協議について「進展している。今後、24時間でさらなる進展を期待している」と一両日中がヤマ場との前向きな見通しを示した。長官は17日で仲介活動をいったん終了し、帰国する予定という。
イスラエル放送によると、長官ら米側はパレスチナ側が何らかの声明を出す方向で協議を進めている。米筋によれば、「暴力やテロでなく、交渉を通じ、パレスチナ独立国家の創設を求める」という内容が盛り込まれそうだという。これは先にアラファト・パレスチナ自治政府議長が12日のエルサレムの自爆テロを含むすべてのテロを非難する声明を出したことを踏まえたものとみられる。ただ、発表される声明が正式な停戦宣言を意味するのかどうかは定かでない。
パウエル長官はシャロン首相との会談で、ジニ特使による仲介協議でのパレスチナ側によるこうした努力を伝える。また、シャロン首相が15日、米メディアにヨルダン川西岸のジェニン、ナブルスから「1週間以内に撤退する」と語ったことを受け、イスラエル軍のパレスチナ自治区からの完全撤退を改めて求めるとみられる。
首相の返答次第で、17日に予定される長官とアラファト議長の2回目の会談に希望が出てくる。長官はまた、同日、エジプトを訪問、ムバラク大統領と会談するとされるが、事態はなお流動的だ。