【エルサレム14日=平野真一】
イスラエル最高裁は14日、イスラエル軍に対し、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ジェニン難民キャンプで死亡したパレスチナ人の埋葬を禁じ、遺体をパレスチナ側に返還するよう命じる判決を下した。
パレスチナ側は、軍がキャンプ住民約500人を虐殺した上、これを隠蔽するため秘密裏に集団墓地に埋葬していると主張。これに対しイスラエル側は全面否定していた。今回の埋葬禁止命令は、真相解明に貢献することになりそうだ。
判決はまた、遺体返還が確実に行われるよう、軍の遺体捜索に当たって赤十字代表の立ち会いを義務づけるとともに、作戦指揮官が同意すればパレスチナ赤新月社の代表も立ち会うことができるとした。
この訴訟は、アラブ系イスラエル国会議員のムハンマド・バラケ氏が埋葬禁止と遺体返還を求めていたもので、同氏は判決を「前向き」と評価した。
ジェニン難民キャンプは、イスラエル側が西岸ナブルスと並ぶパレスチナ過激派の拠点と見てきた場所で、先月29日の自治区侵攻以来、最大の激戦地となった。
イスラエル軍は先週、パレスチナ側が交戦で死亡した同胞の遺体に爆弾を仕掛けて放置したため、キャンプ制圧に支障が生じていると主張。武装パレスチナ人の遺体に限って、ヨルダン渓谷にある無名敵国兵士の墓に埋葬すると発表した。このためパレスチナ側は「虐殺隠蔽」を猛反発していた。
一方、イスラエルのベンエリエザー国防相は14日の治安閣議で、同キャンプでのパレスチナ人死者数は、軍が当初発表した「約200人」でなく「数十人」だと“下方修正”した。
(4月14日23:19)