【エルサレム岸本卓也】
イスラエル最高裁は12日、数百人がイスラエル軍に虐殺された疑いがあるヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ジェニンの犠牲者の遺体埋葬を14日まで差し止めることを政府や軍に命じた。最高裁は審理したうえで14日に埋葬の可否を決定する。イスラエル国籍を持つアラブ系議員らが「軍による埋葬は真実がわからなくなる」と最高裁に訴えたためで、イスラエル軍は遺体の腐乱を防ぐために保冷車を出動させた。
イスラエル軍はジェニンの難民キャンプでの過激派掃討作戦で「パレスチナ人数百人が死傷した」と認めたが、「戦闘による死者で虐殺ではない」と説明した。しかし、パレスチナ自治政府高官は「500人以上が虐殺された」と主張し、国連に調査団の派遣を要請している。
軍を相手取った訴訟について、最高裁は軍に有利な判断をする傾向があり、14日の決定は埋葬を認める公算が大きい。埋葬が認められた場合に、軍はイスラエル東部のヨルダン渓谷にある「テロリストの墓」に遺体を埋葬する。墓は戦闘で死亡した過激派のメンバーや自爆テロの犯人の遺体を埋めるために設営されたという。
[毎日新聞4月13日] ( 2002-04-13-11:26 )