【エルサレム海保真人】
イスラエル入りしているパウエル米国務長官は12日深夜、アラファト・パレスチナ自治政府議長と13日に予定していた会談の中止を決定した。バウチャー米国務省報道官は12日にエルサレムで起きたパレスチナ人過激派の自爆テロを考慮した結果だと述べた。国務省筋によると、アラファト議長の対応次第で14日に実施する可能性があるという。会談中止により、泥沼化している衝突の調停は、さらに混迷の様相を見せ始めた。
バウチャー報道官は、パウエル長官がアラファト議長に今回のテロに対する非難声明を求めている、と述べた。長官はブッシュ大統領の意向を受けて会談を中止したとみられる。
パレスチナ自治政府は今回の自爆テロ事件に対し公式の非難声明を出さず、議長側近のダハラン・ガザ地区保安警察長官は「ジェニン難民キャンプ(ヨルダン川西岸)で起きたことへの報復だと思う」と、イスラエルの軍事作戦によるパレスチナ人死者の続出を暗に非難している。
パウエル長官が、先月29日以来、監禁状態に置かれているアラファト議長に会うことは、今回の調停の焦点の一つとされている。一方、議長は長官と会うことで、国際社会での「復権」を期待していただけに、イスラエル側のペースに追い込まれた形となった。
[毎日新聞4月13日] ( 2002-04-13-10:26 )