【エルサレム13日=平野真一】
パレスチナ危機打開のためエルサレム滞在中のパウエル米国務長官は12日夜、13日にヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ラマッラで予定していたアラファト・パレスチナ自治政府議長との会談を延期した。
長官に同行している国務省当局者が明らかにした。会談は早ければ14日になる見込みという。
エルサレムではこの日、アラファト議長派系の武装組織「アルアクサ殉教者旅団」による自爆テロが発生。米ホワイトハウスは議長に対し、自爆テロ非難とテロ放棄を公式に表明するよう求めており、延期は議長に圧力を加える狙いと見られる。だが、パレスチナ側は、根本原因はイスラエル軍の自治区侵攻にあると主張しており、アラファト議長が米要求に応じるかどうかは不透明だ。
自爆テロ事件を受け、パウエル長官は12日夕、「(紛争の)解決策を見いだすため最善を尽くす必要がある」と述べ、暴力の連鎖を断ち切るため全力を挙げる構えを強調した。米AP通信はパレスチナ自治政府高官の話として、米国がパレスチナ側にテロ非難表明までの猶予として24時間を与えたと報じており、長官としては、アラファト議長がテロ抑止への取り組みを表明すれば、それを足がかりにイスラエル側から侵攻停止へのタイムテーブルを取り付け、事態収拾を図りたい考えと見られる。
だが、イスラエルのシャロン首相は同日、米CBSテレビのインタビューで、「アラファトとはいかなる合意もあり得ない。別の人物を探すべきだ」と主張。さらに「我々の自衛をだれも邪魔するべきでない」と、あくまで「テロ掃討」を続行する構えを改めて強調した。
(4月13日11:33)