【ニューヨーク12日=勝田誠】
国連事務総長の報道官は12日、アナン事務総長が同日、ジュネーブでの記者会見で、イスラエルとパレスチナの紛争が泥沼化している中東に向けた多国籍軍の派遣を公式に提案、これを受けて国連事務局が安全保障理事会に対し、この提案を協議するよう求めたことを明らかにした。
安保理は同日、緊急非公式協議を開き、プレンダーガスト事務次長から「アナン提案」の説明を受けた。アナン事務総長が、中東の治安維持のために、多国籍軍派遣を安保理に正式に要請したのは初めて。
アナン事務総長は、訪問先の国連欧州本部などで記者団に対し、パレスチナ自治区での人道・人権状況が予想以上に悪化したと強い懸念を示した上で、「国際部隊を派遣すべきだという提案はもはや延期できない」と述べ、「事は急を要す」と発言。「当事者双方が受け入れなくても、国際社会には(和平への)責務がある」として、当事者双方の合意の有無にかかわらず、部隊派遣に踏み込むべきだとの考えを強く主張した。
報道官は国連本部での記者会見で、事務総長の要請が、「(当事者双方の武力に)十分対抗できる極めて強力なもので、(北大西洋条約機構=NATO=が中心となった)ボスニア型の多国籍軍」を念頭に置いていると言明した。
パレスチナ自治政府やアラブ各国はこれまで、事態が悪化する以前から、紛争終結に向けた国連主導での「監視機構の設置」を安保理決議に盛り込むよう要求してきたが、米国とイスラエルが強硬に反対していた。
今回の要請に対して、パレスチナ自治政府は、「容易ではないが極めて確かな提案がようやく国連トップから出てきた」(アル・キドワ国連大使)としており、同大使は、安保理による早急な意思決定への期待感を表明した。
(4月13日12:27)