【エルサレム海保真人】
パウエル米国務長官は12日、エルサレムでシャロン・イスラエル首相らと会談、パレスチナ衝突問題での本格的な調停を開始した。会談後の共同記者会見でシャロン首相は、パレスチナ自治区に対する大規模軍事作戦について「作戦ができる限り早く終わることを願っている」と述べるにとどまり、自治区からの全面撤退の有無や時期を明言しなかった。
会見でシャロン首相は「イスラエルはパレスチナのテロ基盤と戦っている。テロが存在する限り、和平はない」と従来の主張を繰り返した。パウエル長官は「首相には我々の立場を説明した」と即時の軍撤退を求めたことを示唆したが、「作戦を早く終わらせ、政治的解決へと通じる軌道に戻ることを希望している」と述べるにとどまった。また、長官は「我々がテロに報復したのと同様、イスラエルにも報復する権利はある」と理解を示しつつ、「問題は報復の先に何をすべきかということだ」とも語り、停戦協議へこぎつける意欲を示した。
イスラエル放送によると、会談でシャロン首相はパウエル長官に対し、自爆テロでのイスラエル人犠牲者の写真を見せ、テロ掃討作戦への理解を強く求めたという。長官は即時の撤退を要求したとみられるが、首相側の抵抗にあっている模様だ。
パウエル長官はこの後、イスラエルのペレス外相、ベンエリエゼル国防相と会談。13日にヨルダン川西岸のパレスチナ自治区でアラファト・パレスチナ自治政府議長と会談する予定だ。