【エルサレム岸本卓也】
イスラエルの各テレビは11日夕のニュースでアラファト・パレスチナ自治政府議長が自治区ラマラの議長府の部屋で自治政府幹部らと話し合う姿をとらえたビデオ映像を放映した。ビデオの中で議長は幹部の報告に怒りの表情を示した。イスラエルの各テレビは「議長はパウエル米国務長官に従うことに反対した」と報道した。イスラエル側の説明が事実かどうか分からないが、パウエル長官の調停を控え、議長を中心とする自治政府側も交渉準備に緊迫していることは確かなようだ。
各テレビの説明を総合すると、このビデオは前日の10日に撮影された。シャロン・イスラエル首相は先月29日の自治区へのイスラエル軍侵攻以来、議長を監禁状態に置いた。しかし、パウエル米国務長官がアラファト議長と13日に会談することを受け、議長が幹部らと会談することを許可した。ビデオは、その会議の模様を撮影したものという。
放映されたビデオは音声が消されていた。テーブルを囲んだ幹部の一人の報告を聞いたアラファト議長は顔をしかめて怒っていた。
テレビの説明によると、幹部が「パウエル(長官)は議長が米国の言うことを聞けばイスラエル軍を撤退させる、と言っています」と告げたところ、議長が「何を言っているんだ」と怒鳴ったという。