【エルサレム12日=久保健一】
ヨルダン川西岸北部のパレスチナ完全自治区ジェニン侵攻作戦の責任者であるイスラエル軍のシュレイン司令官は11日、「テロ基盤の破壊という目的を達成した」と述べ、ジェニンの軍事拠点をほぼ制圧したと発表した。
司令官は同日も軍と武装パレスチナ人の散発的な銃撃戦が続いているが、中心部に立てこもっていた武装パレスチナ人1000人以上が同日までに投降し、組織的抵抗が終わったと述べた。しかし制圧後も、キャンプ内に隠されていると見られる武器・弾薬を捜索するため、当面は軍事封鎖を解かずに兵をとどめる考えを示した。
また司令官は、ジェニン作戦でパレスチナ側に非武装の民間人を含め100人以上の死者が出たと伝えられていることに関し、民間人に死傷者が出たことを認めた上で、武装パレスチナ人が「女性や老人、子どもを(攻撃を避ける)盾として使ったためだ」と述べ、パレスチナ側を非難した。
一方、イスラエル放送によると、軍高官は同日、開始から2週間が経過した「守りの壁」作戦について、西岸各地で武装パレスチナ人4185人を拘束したほか、先月末には続発していた自爆テロの発生率が低下し、作戦が成果を上げていると語った。だがその一方で、イスラム原理主義組織の「ハマス」や「イスラム聖戦」に比べ、パレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハ系武装組織に対する取り締りがまだ不十分との認識を示し、作戦継続の必要性を訴えた。
(4月12日11:46)