【カイロ=松尾博文】
イスラエル経済にパレスチナ人との衝突長期化が重くのしかかってきた。政府は戦費の増大に対応するため、歳出削減や増税など緊急対策の検討に入った。経済成長の目標も下方修正が避けられない。強みを持つ情報技術(IT)などハイテク産業への外国投資もふるわず、和平実現で期待された「平和の配当」は遠のきつつある。
シャロン首相は9日、パレスチナ自治区での軍事作戦のために、まず20億シェケル(約565億円)の国防費の増額案を承認した。一方、財務省は戦費負担に備え、総額100億シェケルの財源を確保する緊急経済対策の作成を開始した。
今年度の政府歳出を50億シェケル削減するほか、残る40億シェケルは所得税の増税で、10億シェケルはガソリンやたばこへの課税増で確保する。付加価値税の比率引き上げも検討するなど国民負担を迫る。詳細を詰めたうえで今月中に国会に提出する。