11日付のワシントン・ポスト紙は、ブッシュ政権のミサイル防衛(MD)の一環として、ラムズフェルド国防長官が核弾頭搭載の迎撃ミサイル開発の検討に前向きな姿勢を示していると報じた。
国防長官の諮問機関「防衛科学委員会」のシュナイダー委員長が同紙に明らかにした。それによると、長官は核弾頭搭載の迎撃ミサイル構想の是非を委員会が検討することに「非常に興味を示した」という。
まだ、検討の「入り口」段階だが、MD配備への国防総省の決意の強さをうかがわさせる。また、「21世紀の国防への転換」に向け、あらゆる構想を事前に排除しないという長官の考えに沿った動きといえる。
国防総省が現在、開発を進めているのは非核の迎撃体による衝突で目標ミサイルを破壊するシステム。だが、敵のおとりミサイルなどと標的を識別して命中させるのは技術的に極めて難しいといわれている。
これに対し、核弾頭による迎撃は、理論的には「弾丸で弾丸を撃ち抜く」ほどの命中精度を確保する必要ない。命中しなくても、周囲で核爆発を起こせば、おとりも含めてすべて破壊できるとされる。
ロシアは旧ソ連時代から核弾頭式の迎撃体を配備、米国も70年代に短期間配備したことがあるが、宇宙空間の核汚染や米通信衛星などへの損害に対する懸念から、非核のMD防衛に一本化した経緯がある。