衆院は11日の本会議で、緊迫するパレスチナ情勢に関して、イスラエル軍のパレスチナ自治区からの早期全面撤退と軍事行動の即時停止を求める「紛争の即時停止と対話の再開を求める決議」を全会一致で可決した。パレスチナ、イスラエル双方に自制を呼びかけることを基本とする日本政府の立場に比べて、イスラエルへの批判色を強めた内容で、イスラエル側は同日、早速反発した。
決議は、「報復の連鎖で暴力の悪循環が渦巻いている」パレスチナ情勢に「強い憂慮の念」を表明。イスラエル軍の軍事行動の自制と和平交渉再開を強く求めた。
議院運営委員会理事会での文案調整の段階で、現地情勢に詳しい小池百合子氏(保守)らが「民衆の竹やりの抵抗にイスラエル軍は戦闘機で応じている」として、イスラエル側の自制を求める必要性を強調したためだ。仲介役の米国に加え、欧州連合(EU)、ロシア、国連の4者が自治区内での軍事作戦の即時停止・撤退を一致して求めるなど、国際世論の流れにも対応した。
この決議に関連して、リオール駐日イスラエル大使は11日、与党3党の幹事長と国会内で会談した際、「決議の内容には(パレスチナ側の)テロへの批判がない」と申し入れた。与党側は「事態の収拾を図るのが先決だ」(公明党の冬柴鉄三幹事長)などと反論した。
一方、政府はこの問題で、イスラエル、パレスチナの双方に自制を求める姿勢をとっており、小泉首相は10日の党首討論で「双方にねばり強い話し合いの努力を呼びかけている」と述べるにとどめた。川口外相は11日、リオール大使との会談で「我々はテロに反対だ。パレスチナにも述べている。イスラエルは侵攻をやめ、即時撤退して欲しい」と求めた。(22:09)