【モスクワ田中洋之】在モスクワの日本大使館は10日、外国人排斥を掲げる極右集団の代表を名乗る人物からヒトラーの誕生日にあたる今月20日にロシア在留の外国人を殺害すると脅迫する電子メールが届いたことを明らかにした。同大使館はロシア外務省に取り締まりと安全対策の強化を申し入れるとともに、在留邦人に注意を呼びかけている。
メールは「ロシア・スキンヘッド・グループ」代表の「イワン」という人物から大使あてに今週初めに届いた。内容は英文で「外国人は問題であり、我々はこの問題を抹消する」と指摘。さらに「貴国民を本国に送還するよう警告する。さもなければ我々はヒトラーの誕生日に、外国人を殺すであろう。それはロシアから外国人が完全に抹消されるまで継続する」としている。同様のメールは在モスクワの米国、インドなど複数の大使館に届いているという。
事態を重視した日本大使館は10日、今月20日前後に不要・不急の外出を避ける▽外出する場合はできるだけ車を使用し、複数人で行動する▽若者が集まる場所や危険の高い場所に近寄らない、などの注意を在留邦人あてにメールやファクスで通知した。ロシア在留の日本人は現在、モスクワだけで約1000人にのぼる。
日本大使館領事部は「今回のようなメールが届くのは初めて。いたずらの可能性もあるが、念のため注意喚起の通達を出した。ロシア・スキンヘッド・グループという組織が実在するのか、またどのような集団なのかロシア側に照会中だ」と話している。(毎日新聞)
[4月11日12時50分更新]