【ワシントン10日=林路郎】
米国務省のリーカー副報道官は10日、湾岸戦争(1991年)で墜落死したと見られていた米海軍戦闘機パイロット(当時33歳)がイラク国内で生存している可能性を示唆し、調査のための米代表団受け入れを提案する書簡が、イラク政府から米国あてに10日までに届いたことを明らかにした。
書簡は3月19日付で、赤十字国際委員会(ICRC)経由で8日、米政府に届いた。消息不明のパイロットは、湾岸戦争空爆初日の91年1月17日、FA―18戦闘機「ホーネット」を操縦中にイラク軍の対空砲火を受け墜落したスコット・スパイカー少佐。
国防総省は当初、同少佐を「戦死者」に分類したが、米メディアによると、「同少佐を目撃した」「少佐はイラク政府に抑留されている」などの情報がイラク反体制派のメンバーなどからここ数年相次いで寄せられたため、昨年「行方不明兵」に再分類された。ラムズフェルド国防長官はこれまで「イラクの言うことはあまり信用できない」と懐疑的な見解を示しているが、イラク政府からの正式な通告を受け、国務・国防総省は代表団派遣が可能かどうかの検討に入った。
イラクが行方不明米兵の問題を持ち出したことは、軍事行動の可能性を探るブッシュ政権の対イラク政策にも微妙な影響を与えそうだ。
(4月11日11:53)