【クロフォード(米テキサス州)7日共同】イスラエル軍のパレスチナ自治区からの遅滞なき撤退を求めたブッシュ米大統領に対し、イスラエルのシャロン首相は6日、軍事作戦を当面継続する姿勢を示し、要求を事実上拒否した。
政治、経済的にイスラエルの後ろ盾である米国がイスラエルを説得できない理由は、軍事作戦の停止と引き換えにイスラエルに与える「対価」が何もないことが大きい。自爆テロ防止の見通しが立たない以上、自衛を主張するイスラエルの行動を抑制することは困難と言える。また、米国がテロとの戦いを進める中で「われわれの軍事作戦はアフガニスタンで米国がやっていることと同じ」(ギシン首相報道官)という議論にも一定の説得力があることも事実だ。ブッシュ大統領は6日の会見で「イスラエルが米国の要請を無視するとは考えていない」と述べたが、楽観的な見通しは裏切られた結果となった。パウエル国務長官の中東訪問では、イスラエルの軍事行動を抑えるためにも、テロ防止が最重要課題の一つとなる。