03/01 18:22 武力と社会政策で制圧決意 毛派対策でネパール首相 外信73
【カトマンズ1日共同】ネパールのシェール・バハドル・デウバ
首相は一日、共同通信と会見し、反政府活動を強めている武装組織
「ネパール共産党毛沢東主義派」について、政府軍による攻勢と、
経済開発など社会的な施策の両面から抑え込みを図る方針を示した
。
首相は「時間はかかるが、われわれがコントロールするようにな
る」と強い決意を示した。だが、インドなど他国の軍事支援の可能
性については「外国軍派遣は求めない。それ以外の協力を求める」
と言明した。
首相は、貧困層の一部が毛派を支持していることを認める一方で
、貧困から解放してやるなどと言って「貧しい人たちに夢を売って
いる」と批判。人々は強制的に資金や食料を供出させられ、政府軍
との戦闘に駆り出されていると指摘した。
政府は昨年十一月に非常事態を宣言。先月、三カ月間の延長を決
めた。首相は「軍の動員や毛派の宣伝を抑えるための報道規制など
で非常事態宣言が必要だった」と説明。「次の三カ月間ですべてで
きるとは断言できない。奇跡は起こせない」と早期の事態収拾には
悲観的な見方を示した。
毛派との和平交渉再開の可能性については「彼らは信用できない
」と否定。首相は昨年七月の就任後、毛派と和平交渉を行ったが「
交渉に真剣でなく、武装闘争準備のために時間を稼いでいただけだ
った」と不信感をあらわにした。
毛派は王制廃止や土地解放などを掲げ、同国中西部などを中心に
貧しい農村地帯に「人民政府」を樹立、警察や軍施設などへの襲撃
を繰り返している。
(了) 020301 1822
[2002-03-01-18:22]
02/28 17:56 共産党毛派が闘争強化 窮地に立つネパール政府 外信72
共同
ネパールの反政府武装組織「ネパール共産党毛沢東主義派」が闘
争を強化、ネパール政府を窮地に立たせている。ネパール政府は昨
年十一月に非常事態を宣言し掃討に全力を挙げてきたが、二月十六
日から十七日にかけて西部アチャン地区が襲撃され警官や兵士ら約
百四十人を殺害されるなど、手詰まり状態だ。
ネパールでは、インドの英国からの独立後、親インド派の「ネパ
ール会議派」が最大政党として勢力を保ち現在も与党だが、一方で
貧困層の不満や民主化運動の広がり、中国の影響などから共産党も
、統合や分裂を繰り返しながら影響力を維持してきた。
毛派は、一九九四年野党第二党だった「統一中央共産党」から分
裂し、九五年三月に現在の組織名を決定。九六年二月、政府に「王
族の特権はく奪、非宗教国家、新憲法の制定」など四十項目の要求
を突きつけたが受け入れられず、西部の山岳地帯を中心に武装闘争
に転じた。
昨年十一月の非常事態宣言前、同派は約五千人の兵力を持ち、山
岳地帯を中心に国土の約三分の一で独自の「人民政府」を設置、徴
税や徴兵を行っていたとされる。
同派のバブラム・バタライ幹部は、ネパール紙に「『土地は耕作
者のもの』を原則にした大胆な土地改革で計画的な経済開発を進め
る」と説明。五年間で二千人以上が武装闘争で犠牲になったことに
ついて「革命に値札をつけるのは時代錯誤だが、ネパール人が支払
った値段は低い方。フランス革命を覚えているか」と話し、犠牲覚
悟で闘争を続ける方針を示した。
政府は非常事態宣言後、それまで手控えてきた軍の全面的な動員
を決定。アチャン地区襲撃事件後は、同地区や近隣地区で毛派約百
人を殺害するなど掃討作戦を強化した。しかし毛派が呼び掛けたゼ
ネストで首都カトマンズがまひ状態となるなど、毛派を抑えられて
いない。
政府軍は本格的な゛戦争″の経験がなく、特に「情報活動が十分
でない」(外交筋)弱みがある。
一方、毛派が強い勢力となった理由について(1)ネパール王室
がひそかに支持し、そのため軍投入が遅れた(2)インドや中国が
支援している―などのうわさが流れているが、真偽は不明だ。バタ
ライ幹部は「故ビレンドラ国王側から接触があった」「各国の毛沢
東主義派の支援を受けている」と話している。
ネパール下院は二月二十一日、非常事態の三カ月延長を承認した
が、観光や繊維製品などの輸出も不調で、掃討作戦は脆弱(ぜいじ
ゃく)な同国経済を圧迫している。政府が抑え込みに失敗すれば、
毛派が政権につく可能性があるとの予測もでている。(カトマンズ
共同=古池一正)
(了) 020228 1755
[2002-02-28-17:56]