【ワシントン1日=永田和男】米民主党のトーマス・ダシュル上院院内総務は28日の会見で、ブッシュ政権による対テロ戦争について、「成功がけん伝されているが、長い目で見れば成功は疑わしい」と指摘、初めて公然と批判した。他の民主党指導者からも同日、「戦争勝利には超党派の協力が欠かせないのに政権から議会に相談がない」(リチャード・ゲッパート下院院内総務)、「ホワイトハウスにはおごりが見られる」(ジョゼフ・バイデン上院外交委員長)などと一斉に批判が噴出した。「ブッシュ大統領に対テロ戦争では協力し、内政面で批判を強める」というこれまでの中間選挙向け戦術を、民主党が転換させ出した動きといえる。
これに対し共和党側は同日、「戦争の最中に大統領を批判するようなことがなぜできるのか」(トレント・ロット上院院内総務)、「胸がむかつく」(トム・ディレイ下院院内幹事)などと一斉に反発した。
民主党が、これまで“禁じ手”だった大統領の戦争遂行を批判材料に使うことに踏み切った背景には、今秋の中間選挙を前にして、景気が底を打ったとの見方が広がるなど、共和党有利の状況が変わりそうもないとの判断があると見られる。
ロバート・バード上院歳出委員長(民主)は27日の公聴会でポール・ウォルフォウィッツ国防副長官に対し、戦争がフィリピンからグルジアなどへ拡大しつつあることについて、「我々は戦争を始めるのは得意だが、出口を探すのは苦手のようだ」などと詰問。国防総省が要求する3790億ドルの超大型来年度予算も簡単には通さない構えを示した。(読売新聞)
[3月1日19時34分更新]