全長50メートルの巨大物体が、赤道上3万6000キロの宇宙空間に浮かんでいるのを、日本スペースガード協会(理事長・磯部国立天文台助教授)が発見した。同協会が昨年12月に導入した望遠鏡のテストで見つかったもの。米国の軍事衛星と推測されているが、そんなに大きな構造物をどう打ち上げたのかも関心を呼んでいる。
この物体は、放送用の衛星などがひしめく静止軌道上(高度3万6000キロ)にあり、東経120度付近(インドネシア上空)にじっとしている。同協会によると、物体は7―10等星程度の明るさで変動していることから、形はいびつであることが判明。最大の明るさから、全長は50メートル前後と推測された。また位置が全くずれないことから、常に姿勢制御されていることも判明した。同協会によると、米空軍は1980年代から衛星を使った国防システムを計画。打ち上げる衛星の中には、巨大な電波望遠鏡も含まれており、発見した物体はそのうちの一つとみられる。
江畑謙介さん(軍事評論家)は「米国が60年代以降に、打ち上げた軍用通信傍受用衛星の一つ、いわゆる盗聴衛星ではないか。特に機密性が高く、米政府も存在を認めていない。構造の大部分がアンテナで、電波で見つけにくいステルス性に優れ、第三者が発見したのは初めてだろう」と話している。
(4月4日13:19)