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イスラエル社会は一枚岩ではない〜ユダヤ教正統派と世俗派の溝は深い(ニューズウィーク日本版)2002年4月3日号 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 4 月 04 日 12:20:38:

イスラエルの日刊紙ハーレツは、先週も報復合戦や治安協議を大々的に報じた。おかげですっかり隅に追いやられてしまったのが、「マツォー・ポリス」の記事だ。
ユダヤ教では過ぎ越しの祭りの間、酵母入りのパンを口にすることが禁じられており、代わりに種なしパンのマツォーを食べなくてはならない。それがきちんと守られているか、ラビ(ユダヤ教聖職者)がレストランをパトロールして回っているという。
世俗的なユダヤ教徒たちは、こうした「巡視」を好まない。パレスチナとの緊迫した情勢がなかったら文化衝突が起きていただろう。
イスラエル人は昔から、この国を滅ぼす最も確実な方法は、アラブ人がイスラエルに対する攻撃をやめることだと冗談を言ってきた。そうすればイスラエル社会内部の対立によって、自らバラバラになるというだ。
パレスチナとの衝突激化で、イスラエル国内の亀裂は目立たなくなったが、消え去ったわけではない。宗教を重視するユダヤ人と世俗的なユダヤ人は、国家樹立の前から日常生活の過ごし方をめぐり衝突してきた。出身地による対立もある。
また、イスラエル領内に暮らす多くのアラブ系住民は「下層階級」として虐げられてきた。戦闘が激化すればするほど彼らは、ヨルダン川西岸やガザ地区のパレスチナ人に同情し、反発を強める。
「イスラエル社会は過去54年間、国を存続させる共通の利益をもち、内部対立を乗り越える力があるかを確認する機会がなかった」と、イスラエル社会の対立を取材しているジャーナリストのダニエル・ベンシモンは言う。

西岸とガザの「分離案」

イスラエルは90年代半ば、パレスチナとの和平に向けて急速に動きだしたかにみえた。過激派が台頭したのは、そんなときだった。
94年にはニューヨーク出身のユダヤ人入植者が、ヘブロンのモスクで礼拝中のイスラム教徒29人を殺害した。自分も袋だたきにあって死んだが、入植者は彼のために記念碑を建てた。
和平交渉を積極的に進めていたイツハク・ラビン首相は95年、右派の激しい中傷を受けたあげくユダヤ人青年に暗殺された。リア夫人は、ラビンが殺されたのは30年代から続くシオニズムの内部抗争が原因だと語った。
今はパレスチナとの衝突で、イスラエル内部の亀裂が見えにくくなっている。だが、シオニズムのあり方に根本的な問題が存在することに変わりはない。
イスラエルでは、ユダヤ人の定義さえ大論争の的になる。リベラル派は定義に寛大だが、強い政治力を維持してきた正統派ユダヤ教徒は「ユダヤ人」を、入会資格の厳しい排他的なクラブのように考えている。
正統派ユダヤ教徒は、ユダヤ教への改宗者も「ユダヤ人」と認めたがらない。それなのに結婚や葬式は、正統派ユダヤ教徒が独占的に執り行う。イスラエル人の大部分は、正統派の厳格な律法解釈に共鳴していないから、無理に律法に従わせればユダヤ人の間の亀裂はいっそう深まるだろう。
ユダヤ人同士でさえこの調子なのだから、アラブ系住民とユダヤ人の亀裂はもっと深い。
イスラエル領内には現在、100万人のアラブ系住民がいる。建前上は、彼らにも完全な市民権が与えられているが、実際には何十年も「二級市民」扱いされてきた。アラブ人居住地区は予算配分も少なく、学校の整備もユダヤ人地区に比べて遅れている。
一方、多くのイスラエル人は、アラブ人社会を数の上で脅威と感じている。アラブ系住民はイスラエルの人口の20%を占めるが、出生率はユダヤ人よりはるかに高い。ヨルダン川以西では2010年までにアラブ系の数がユダヤ人を上回ると予測する専門家もいる。
ユダヤ人が少数派にならないようにするにはどうすればいいのか。穏健派は、ユダヤ人のアイデンティティーと民主主義を維持できる唯一の方法は、ヨルダン川西岸とガザ地区を分離することだと言う。
「イスラエルでユダヤ人が多数派を維持する方法はこれしかない」と、ラビン元首相の側近だったヨッシ・ベイリンは語る。

内部対立の問題は先送り

しかし強硬派は、人口問題を懸念する必要はないと主張する。「アラブ系住民に参政権を与えなければいい」と、急速に力を伸ばしている右派のエフィ・エイタム元将軍は言う。
エイタムは、パレスチナ人に市民権を与えることさえ簡単に否定する。パレスチナ人には自治権を与えているし、それで満足できないならヨルダンとエジプト領のシナイ半島に自分たちの国をつくればいい、というのだ。
2年前の時点で、イスラエルで行われた世論調査では、イスラエル社会における最大の不安定要因は「世俗的なユダヤ人と宗教重視のユダヤ人の間の亀裂」と考える人が大多数だった。「アラブとイスラエルの対立」と答えた人は約20%にすぎない。
これはイスラエルが「普通の国」に成熟しつつある証拠だ、とベンシモンは指摘する。「市民革命が起きつつあったのだ」
だがその後、西岸とガザ地区で衝突が起き、イスラエルの世論は再び戦争一色になった。「外的脅威が戻ってきたために、われわれは社会内部の問題に向き合うチャンスを逃してしまった」と、ベンシモンは言った。

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