【ワシントン=春原剛】
ブッシュ米大統領は1日、テロ活動を支援する組織や国をテロリスト同様に「敵」と見なす「ブッシュ・ドクトリン」をアラファト・パレスチナ自治政府議長には適用せず、今後もイスラエルとの和平交渉相手ととらえる考えを表明した。ホワイトハウスの執務室で記者団の質問に答えた。
大統領は「アラファト議長はテネット(米中央情報局長官の示した)停戦案や(和平交渉への道筋を定めた元米上院議員の)ミッチェル提案に同意している」と指摘。同議長に和平交渉に応じる意思がある限り、政治的に見限らない姿勢を示唆した。
今回の発言はアラファト議長への不信感を捨てないシャロン・イスラエル首相に一定の自制を求める狙いが込められているもようだ。
フライシャー大統領報道官は同日の記者会見で「大統領はアラファト議長が(テロ防止で)100%の努力ができると信じている」と強調した。中東での調停外交は当面、現地滞在中の中東特使が担当、パウエル国務長官らの派遣は考えていないことも明らかにした。