04/01 16:36 大統領健康不安で混乱懸念 資源大国アゼルバイジャ 外信34
共同
カスピ海の膨大な石油資源をめぐり、国際的投資が集中するアゼ
ルバイジャンのアリエフ大統領(78)の健康不安が、約三週間に
及んだ最近の米国での療養を受け深刻化している。野党への圧力、
選挙での不正疑惑など強権体質への不満が国内に蓄積、「アリエフ
後」の混乱、緊張の懸念が指摘されている。
盤石の後継体制はなく、国内では最悪の場合、ソ連崩壊後の内戦
で大量の死者、難民を出した「タジキスタンと同様の事態」を予想
する声もでている。アフガニスタン情勢で安全保障上の重要性が高
まる中央アジア・カフカス地域に位置する資源大国の動向は、国際
情勢に大きな影響を与えそうだ。
アリエフ大統領が米国での療養から帰国したのは二月二十八日。
前立腺の手術が目的と発表されたが、首都バクーではがん説も広ま
っている。大統領の米国での手術は三回目。一九九九年には心臓、
二○○○年には目の手術を受けた。
大統領が後継者としてもくろんでいるのは、与党「新アゼルバイ
ジャン」の副党首を務める子息イリハム氏(40)だが、四年前に
はトルコ紙が「バクーのカジノで、五百万ドル(約六億六千万円)
失う」と報道。「真偽はともかく、イリハム氏のばくち好きは公然
の事実で人気はさっぱり」(地元ジャーナリスト)。
一方で、政治的影響力を急速に高めているのが最大野党ムサワト
を率いるイサ・ガンバル元国会議長。同国の独立系通信社トゥラン
による最近の世論調査で、アリエフ大統領と肩を並べる支持率を獲
得、「現時点でイリハム氏と公正な大統領選を争った場合、勝機は
十分」(外交筋)だ。
二○○○年十一月の議会選では、新アゼルバイジャンなど与党系
が議席九割を獲得し圧勝したが、選挙を監視した欧州安保協力機構
(OSCE)は選挙の公正性に重大な疑問があると指摘、野党側も
再選挙を要求した。
「アリエフ後」の大統領選で仮に政権側候補が勝利しても、野党
側が不正行為を糾弾するのは間違いない。アリエフ政権とたもとを
分かち、現在政治評論活動に転じたエルダル・ナマゾフ元大統領顧
問は「最悪の場合、タジキスタンと同じ道をたどることもあり得る
」と警告する。
大量の石油資源を抱えるため、゛有事″には「米国などが目の色
を変えて介入するのは必至」(日本アゼルバイジャン経済委員会会
長の渡利陽ニチメン相談役)だが、多数のアゼルバイジャン系住民
を抱えるイラン、依然戦争状態にあるアルメニアなど周辺国の思惑
も複雑に絡む。国際社会の不用意な介入が、逆に事態を悪化させる
可能性も排除できない。(バクー共同=及川仁)
(了) 020401 1636
[2002-04-01-16:36]