先に紹介した田中宇さんの「ブッシュ政権は、エンロン疑惑を隠すために、アフガン戦争を始めた可能性がある」との見解に、国際謀略小説「ゲノムの箱舟」の著者の佐々木敏さんが、自分のホームページ「アーカシックレコード」でかみついています。佐々木さんはイスラエル・パレスチナ問題と米国の戦略について、独特の(ひねくれた?)見解を披瀝してくれており、参考にはなりますが、その主張は賛成できません。米国の世界戦略を動かしているのは、共和党とロックフェラーであり、その優位は当面、揺るがない、共和党は本質的にイスラエル無用論だ、という主張です。他にも、共和党擁護派としては、宮崎正弘さん(非ヤングさん?)や藤井喜厳さん(元藤井昇さん)らがいます。このうち、「何が何でもブッシュ万歳」という藤井さんは論外でしょうが、佐々木さん、宮崎さんは、反米志向もありながら、当面はわが国は共和党にゴマをするべき、という考えのようです。副島隆彦さんも一時期、同様の主張をしていましたが、最近は元革マル派シンパの地が出たのか、反米のトーンを強めており、何やらコーマニズムの漫画家と似た「ナショナリズム派」への回帰を感じさせています。
しかし、こうした主張は米国の世界帝国、世界の機軸国家の地位が当面(少なくとも21世紀中は)揺るがない、との前提に立った主張ですが、小生にはそうは思えません。ダブヤ政権がイラクや北朝鮮政策、あるいは核政策を誤っただけで、米国は崩壊しかねない、と思っています。従って、米国を動かしている共和党やそれにつながるビッグリンカー(彼らに力があるのは事実でしょうが)の思うようにパレスチナ問題や石油問題が動くと考えるのは誤りでしょう。
また、奇妙なことに、これら共和党支持者はいずれも「中国嫌い」です。この点は、何か深層心理学的な理由があるように思います。小生は中国については、大した知見がないので、佐々木さんが人民解放軍について、色々、書いておられることなとは参考にはなりますが、極端な中国悪者論は理解不能です。こういう人々の中国批判と同じような論法を採用すれば、米国など中国の何倍もの欠点を指摘出来る筈です。中国が世界帝国になれたとして、米国の世界統治よりはるかに悪いかどうかも感情論でなく、新地用に議論すべきことでしょう。どうも、共和党擁護・中国嫌悪派には、やはり「白人崇拝」という病理がうかがえます。
ついでにいえば、木村愛ニさんが何度も指摘しているように、わが国の左翼はアフガン問題について、謀略の可能性を全く論じないのは不思議です。革マル派がWTCアタック直後に「旧KGBのからんだ攻撃」と主張したようですが、すぐ撤回したようです。米国こそ諸悪の根源と主張している新左翼などが、どうして「事件そのものが米国の謀略」と考えないのでしょうか。この世界を「価値観の激突」とみているでしょうか。それとも、木村さんのいうように、彼らは「米国の第5列」なのでしょうか。
ついでに「アフガン・トリビア」を2つ紹介しましょう。米国の映画館では、予告編の上映前には「シドニー・ポアチエがアカデミー賞を取ったのは何年」といったクイズを「ムービー・トリビア」と称してずっとスライドで写しています。トリビアとは。些細なこと、瑣末なことと言う意味で、トリビアルやトリビアリスムの語源です。
一つ目は、昨年末のマザルシャリフ攻防で、反タリバン派の主力となったのは、北部同盟のドスタム将軍派ではなく、ウズベキスタン共和国の4000人の兵士とロシアの2000人の兵士だそうです。しかも、この情報をリークしたのがイスラエルの通信社だというあたりに、アフガン問題の奇奇怪怪さがうかがえます。
もうひとつは、ハザラ人のハザラというのは、モンゴルが世界征服を行った際、10の軍団を仕立てて西南アジアに攻め込んだ際の、「10番目の軍団」という意味だそうです。ただし、ハザラ人がジンギスカンの直系の子孫かどうか、は疑問視する学者も多いようです。