【カトマンズ20日=中津幸久】ネパールで1996年以来、反政府武装闘争を続けている極左組織・ネパール共産党毛沢東主義派の殲滅(せんめつ)を目指す政府の掃討作戦が山場にさしかかっている。
昨年11月の非常事態宣言の発令後、軍を前面に出し、毛派の拠点攻撃を本格化させた政府が、さらに反テロ国際協調の流れを利用し、英米などからの支援取り付けに加え、デウバ首相が20日、インドを訪問し協力を求めるなど、国際的な毛派包囲網の構築に動きだしているからだ。ディベンドラ・カンデル治安担当国務相は20日、本紙と会見し、「5月下旬までに全国を政府支配下に置きたい」と語り、毛派掃討に向け全力をあげる意向を示した。
毛派は立憲君主制の廃止などを求め、ゲリラ戦を展開。国内のほぼ全域がテロ攻撃を受け、辺境では毛派の支配下にある村もある。
政府と毛派は昨年7月、デウバ新政権発足を機に停戦に合意し、和平交渉を始めたが決裂。政府は2月、非常事態宣言を5月下旬まで3か月間延長した。
政府側は交渉決裂後、従来の警察に加え、軍を主力に据えた。今月17日には、毛派が闘争開始を宣言した西部ロルパ地方の毛派の根拠地を攻撃、60人以上を殺害するなど、世界的な反テロ戦争の流れに乗り攻勢を強めている。
当地の非政府組織INSECの集計によると、96年の毛派の闘争開始後の死者数は昨年末までに計1593人だが、昨年は677人。今年は今月3日までで527人を数える。(読売新聞)
[3月20日23時17分更新]