03/20 07:22 核テロ防護計画を承認 IAEA理事会 外信18
【ウィーン19日共同】ウィーンで開催中の国際原子力機関(I
AEA)理事会は十九日、昨年の米中枢同時テロ以降高まりつつあ
る核テロの脅威に備えてIAEA当局が策定を進めていた「核テロ
防護プログラム」を承認した。
国際協力による核関連物質の不法取引根絶など幅広い核管理を目
指した同プログラムが了承されたことで、これまで国家主権の壁で
実現が困難とされてきた核の国際管理がIAEAを中心に大きく歩
みだすことになった。
同プログラムは、「核物質の不法取引などの探知」「緊急事態へ
の対応」などIAEAが加盟国に緊急に求める八項目から成り、中
でも核関連物質および、原発などの核関連施設の防護を最優先事項
と位置付けている。このほか、各国政府に核物質の量や保管場所の
正確な把握、これまで管理が不十分とされてきた医療用などの放射
性物質の管理強化も求めている。
プログラム実行については、IAEAが指針の策定や具体策の助
言などで協力するほか、国際的な専門家チームを結成、指導などを
求める国に派遣するとしている。
プログラム実行の予定期間は三年で、予算は計約三千四百万ドル
。このほか資金不足の国の支援を目的にした基金設立のため六千万
ドルを計上、各国に拠出を求めている。今回、米国が新たに百万ド
ル、日本も五十万ドルの拠出を表明した。
核テロ防護プログラムは昨年十一月の理事会で概要が示された後
、加盟国間で協議が重ねられ、今回の理事会で最終案が提出された
。
(了) 020320 0721
[2002-03-20-07:22]
03/20 07:24 核テロ防護計画の要旨 外信20
【ウィーン19日共同】国際原子力機関(IAEA)理事会が十
九日、承認した「核テロ防護プログラム」の要旨は次の通り。
一、核関連物質および核施設の防護は核テロ防止の最優先事項で
あり、防護策強化が求められる。
一、核関連物質の盗難、不法取引は国際的な懸念事項であるが、
防止に向けた指針などは現在存在せず、探知のための対策が必要。
一、加盟国は所有する核関連物質の量、保管位置などを常時、把
握している必要がある。
一、多くの加盟国は(医療用などの)放射性物質の管理を改善し
なければならない。
一、核関連施設の防護は、テロなどの攻撃に脆弱(ぜいじゃく)
との前提で再検討する必要がある。
一、加盟国は核テロなどの緊急事態に対応する必要があり、IA
EAも支援態勢を整えなければならない。
一、核関連物質の管理などに関する国際協定、指針、勧告の一層
の履行が求められる。
一、核管理のための国際的な協力、情報交換が要求される。
(了) 020320 0724
[2002-03-20-07:24]
03/20 08:23 旧ソ連の核流出阻止に狙い 技術、人的支援を充実 外信19
【ウィーン19日共同】国際原子力機関(IAEA)理事会が今
回承認した「核テロ防護プログラム」では、直接の名指しは避けた
ものの、冷戦終結以降、核流出が懸念されている旧ソ連諸国に対す
る技術・人的支援を充実させ、流出を封じ込める狙いがある。
旧ソ連諸国では、旧ソ連時代の核解体後の核物質の半数以上が不
十分な管理下にあるとされ、米国などが技術支援を行ってきた。し
かし米中枢同時テロ以後もグルジアで密輸事件が報告されるなど依
然、流出への懸念は大きい。
プログラムでは、旧ソ連諸国など核関連物質の不法取引が緊急の
課題となっている加盟国への不法取引の探知・監視のための技術協
力、スタッフの訓練支援の強化を盛り込んでいる。
また核管理の技術的な助言、指導などを行う「専門家チーム」を
IAEA内に結成、旧ソ連諸国などの要請に応じて派遣する準備も
整えている。
さらにプログラム実行に当たり財源難の国を対象に設けられる基
金も「事実上、旧ソ連諸国が対象となる」(外交筋)といい、プロ
グラムの実行を通して「(旧ソ連からの)核流出を完全に阻止する
」(IAEA当局者)のが目的だ。
(了) 020320 0822
[2002-03-20-08:23]