【ワシントン=春原剛】パウエル米国務長官は15日、非核保有国には核兵器を使用しないという従来方針に変わりはないと言明した。AP通信との会見で語った。ブッシュ米大統領がイラクなど核開発疑惑のある特定国を念頭に「あらゆる選択肢がある」と述べ、核の先制使用も辞さない構えを示唆したことを補完する狙いとみられる。
非核国に核兵器を使用しないという原則方針は1978年にカーター政権が表明。クリントン前政権も1995年に同様の姿勢を示している。AP通信によると、この点について、パウエル長官は「われわれは政策を変えていない」と述べるとともに「特定の国を日々の体制の中で(核兵器の)攻撃対象とはしていない」と説明した。
米国防総省が作成した「核戦力の見直し」計画によると、米国が核兵器使用の潜在的対象国としているのはロシア、中国、イラク、イラン、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)、リビア、シリアの7カ国といわれる。このうちロシアについてパウエル長官は、二国間合意に基づき、米ロ双方が核弾頭ミサイルを特定の攻撃目標には設定していないと述べた。