【ワシントン15日=林路郎】米国防総省により1月に連邦議会へ提出された「核戦力体制見直し報告」(NPR)が、地表を深く貫通する能力を持ち命中精度の高い小型核爆弾の開発と、より柔軟な攻撃計画策定の必要性を唱えていることが15日までに明らかになった。
報告は、世界70か国以上に計1400か所以上の大量破壊兵器関連の地下軍事施設があるとしており、新型核爆弾の開発は、いわゆる「ならず者国家」などからの大量破壊兵器による攻撃を防ぐために、こうした施設の破壊を想定したものだ。
米国のシンクタンク「グローバル・セキュリティー」が報告の機密部分を入手、抜粋をホームページに掲載した。大量破壊兵器を使ったテロなど21世紀型の脅威に対抗できる能力を確立することで、対米攻撃を抑止する新たな核戦略を示すものだ。偶発事態に対処するため、核戦力や攻撃計画を「より柔軟なものとすることが重要だ」とし、「核」の実用性を重視する姿勢を打ち出している。
抜粋では、新型兵器開発の必要性に加え、現有の核弾頭老朽化が進んだと指摘。92年以降行われていない核実験について、「実験なしに核戦力を無期限に維持することは不可能になるかもしれない」と、実験再開の可能性を明記した。
また、米軍が現有する唯一の地下攻撃用核爆弾B―61改良型では「標的への到達は不可能で、新たな能力の開発が至上命題だ」としている。(読売新聞)
[3月16日0時22分更新]