(回答先: 核テロ防護計画提示へ IAEA 投稿者 倉田佳典 日時 2002 年 3 月 15 日 21:11:15)
03/15 16:48 深まる核テロの懸念 国際管理体制づくり急ぐ 外信77
共同
米中枢同時テロ以降、国際原子力機関(IAEA)が核テロ発生
の可能性に危機感を強めている。テロリストが核物質を保有したり
、原子力発電所を標的にしたテロを計画しているなどの情報がたび
たび流れるためだ。背景には旧ソ連諸国で続く核物質流失や、旧式
化し外部からの攻撃に弱いといわれる核施設への懸念がある。
三月十八日からのIAEA理事会に正式提出される「核テロ防護
プログラム」は、こうした危機感を土台に核物質の管理強化から緊
急事態の対応策までをIAEAが中心となってまとめようというも
のだ。加盟各国が承認すれば、これまで国家主権の壁で、実現が困
難とされてきた核の国際管理に向け大きく歩み出すことになる。
今年一月、グルジアのアブハジア地方にIAEAの緊急対応チー
ムがひそかに向かった。密輸目的とみられる放射性物質が発見され
、住民三人が被ばくしたとの情報が入ったためだ。中枢テロ以降、
IAEAはこうした専門家チームを強化、核テロを想定したマニュ
アルも準備済みとされる。
米国では既に原発の対テロ防御強化に乗り出しており、IAEA
のエルバラダイ事務局長は昨年十一月、「九月十一日以降、核テロ
の脅威は全世界的にかなり差し迫ったものになっている」と警告し
た。
現在、IAEA当局や米国が最も懸念するのが、旧ソ連時代から
の核物質がずさんな管理の下で残されているウクライナ、ベラルー
シなど旧ソ連諸国からの核流失だ。
IAEAによると、一九九三年から二○○一年十月までに報告さ
れた核関連物質の不法取引事件数は三百七十六件。大半は医療用や
産業用の低レベル放射性物質だが、少量ながら核兵器に使えるプル
トニムやウランの取引も十八件。具体例は公表されていないもの、
「旧ソ連諸国から東欧、中東経由の密輸が目につく」(関係者)。
IAEA当局者は「テログループが旧ソ連の核物質を失業中の科
学者とともに入手するのは最悪のシナリオ」と話す。
昨年十一月に発表された「防護プログラム」は、核関連物質の不
法取引取り締まりから核関連施設の防護強化までに及ぶが、「一度
に実現するのは資金面から見ても困難」(外交筋)。取りあえず核
物質の輸送の際の警備の強化や核事故発生時の情報提供の義務付け
などが優先される見通しだ。
しかし「加盟各国の危機感は強く、プログラム実施に反対の声は
ない」(IAEA高官)。プログラム策定を機に、IAEAが悲願
としてきた核管理の国際的な体制づくりに向け一気に前進する可能
性も出てきた。(ウィーン共同=小林義久)
(了) 020315 1648
[2002-03-15-16:48]