【ワシントン13日=共同】
ブッシュ米政権は13日、これまでイスラエル寄りと批判されていた中東政策を転換、パレスチナ自治区への軍事強硬路線を続けるイスラエルに対し、新規経済援助を一部凍結する事実上の経済制裁を検討する方針を固めた。米CBSテレビが同日伝えた。
イスラエル政府は年間30億ドル(約3千9百億円)の経済・軍事支援を毎年受けているが、ロイター通信によると、このほかに8億ドルの追加支援を米政府に要請。米政府は、要請を受けて実施を検討していた2億ドルの供与を見直す方針という。
米政府は外交だけでなく経済面でもイスラエルに圧力を加える姿勢を示すことで、武力衝突の即時停止実現を目指し、14日にイスラエル入りを予定しているジニ米中東特使の仲介工作を成功させたい考えだ。米政府はジニ特使の派遣期限を設定していない。
ブッシュ米大統領は13日の記者会見で、イスラエルの強硬路線について「最近の行動は(和平への)助けにならない」と述べ、強硬路線を貫くイスラエルのシャロン政権を非難し、自制を促した。
マクラレン大統領副報道官は同日の記者会見で、パレスチナの一般住民が多数犠牲となっていることについて「極めて憂慮している」と述べ、停戦実現に向けイスラエルとパレスチナが「あらゆる措置」を講じるよう要求した。
イスラエル軍がヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ラマラに戦車部隊を投入して占拠したことに国連なども批判を強めているが、ジニ特使の仲介で米国の思惑通り、即時停戦にこぎ着けられるかどうかは微妙だ。