ミロシェビッチ政権崩壊後、ユーゴスラビア連邦の国の枠組みについての見直し論議をしてきたセルビア、モンテネグロ両共和国の政府代表とコシュトニツァ連邦大統領は14日、新しい国名を「セルビア・モンテネグロ」とすることなどを柱とする憲法改正案に合意、仲介役を務めるEU(欧州連合)のソラナ共通外交・安保上級代表とともに署名した。両共和国の議会と連邦議会による承認を経て、ユーゴの名は消え、より緩やかな連邦国家に生まれ変わる見通しとなった。
ユーゴ連邦は90年代に解体が進み、残るのはセルビア(人口1050万)とモンテネグロ(68万)だけ。しかも欧米志向のモンテネグロは連邦離れを進め、すでに法定通貨はユーロとなっている。今も機能する連邦組織は軍ぐらいで、00年秋のミロシェビッチ政権崩壊後、実態に合った国家のあり方についての話し合いが進められていた。
憲法改正案は、当面はモンテネグロが一つの国家内にとどまることを明記。一方で、両共和国の権限強化と連邦政府の省庁削減などを示している。国名変更に加え、連邦制度をより緩やかにすることで、正式独立に向けた住民投票をちらつかせるモンテネグロの譲歩を引き出した。
両共和国と連邦の各議会は6月ごろまでに憲法改正案の承認手続きをする予定。順調に進めば、新しい連邦議会の選挙が秋にも実施される。
「南スラブ」を意味するユーゴスラビアという名称は1929年誕生の王国の時代から使われてきたが、これに愛着を持つ国民はもはや少ないと見られている。(20:12)