昨年秋から私が担当してきた新しい政策決定システム改革案の最終報告を夕方6時に、小泉総理に届け説明した。自民党国家戦略本部、国家ビジョン策定委員会で検討してきた、いわゆる「政策決定の内閣への一元化、与党事前承認の廃止」だ。今後党内で議論を深めていく。実現への道は平坦ではなかろう。
また同時に、鈴木問題への対応から、「政」と「官」との関係のあり方に関する「緊急アピール」も提案し、政府側に検討を求めた。
縦割り行政の下での「個別利害調整型・積み上げ型の政策決定」により、わが国は、理念重視、戦略のある国家経営を長らくおろそかにしてきた。とりわけバブル崩壊以降、迷走を続け、外国からはまさに統治能力が問われている。私はそうした危機感から、国家ガバナンスを再構築しなければならない、との考えをかねてから訴えてきたが、今回、幸いにも保岡国家戦略本部事務総長から「政治システム」の担当にして頂き、根本代議士、林芳正参議院議員とチームを組み、党内外の多くの皆さんのアドバイスを頂きながら報告書を完成する事ができた(追って報告書を私のホームページに掲載致します)。
また、97・98年の金融再生トータルプラン以来ご指導頂いている保岡事務総長のエネルギーには、ひたすら頭が下がる思いだ。
報告の最大のポイントは与党の事前承認制の廃止だ。もちろん党は事前に法案などを審議はするが、あくまでも内閣は国会に案件を提出する際、党の事前承認は不要とする。官僚主導ではない首相中心の内閣主導体制の構築だ。もちろん「族議員政治」とは訣別する。
その他私が最も重要だと思うポイントは以下の通り。
・事務次官会議を廃止し、閣議を実質的総合調整の場とする(私は多数決制を強く主張したがビジョン委員会内で意見が割れ、盛り込まれなかった)
・大臣、副大臣、政務官はチームで役所に乗り込む。
・自民党内に「人事評価委員会」を設置し、派閥、当選回数にとらわれない人事を総裁自身が行なう。
・首相と大臣の回りは、常勤の「政策官」(日本版ポリシーユニット)で囲み、官僚以外から絶えず情報とアイディアが上がるようにする。
・官僚が役所に対してではなく、国家の将来に全てを賭ける事が可能となるよう、霞ヶ関内外を問わず、最も有能な人間が必要ポストに就けるよう、公務員制度を一層改革する(平たく言えば、上級職試験を廃止し、官民の壁をなくす)。
・独立系・非営利シンクタンクの本格育成
・自民党議員といえども信念に基づいて採決に臨めるよう、総務会において討議拘束を解除する事を可能とする(実現すれば、私は株式買取り機構法案に反対できていた)
今後党内で激しい議論があるだろうが、これを実現しなければ、日本の再生はないと思う。